9月にはいると北太平洋の高気圧は次第に衰え、大陸の高気圧が徐々に強まり始める。また、この間に移動性高気圧と低気圧が交互に本邦を通過し、低気圧に伴った寒冷前線の後には、乾燥した冷涼な秋風が送り込まれてくる。
9月から10月始めにかけては、しばしば日本海を急速に北上して来る台風があって、天気の急変が懸念されることが多い。これらの台風のうち、奥羽地方を横断して太平洋へ抜けるものは函館付近に大雨をもたらすことが多く、また北海道西岸沿いに北上するものは強い南風の暴風となって、函館としては最悪の気象状況となる。昭和29年の洞爺丸台風は、この代表的なものとして知られている。
秋が深まり、10月ともなると晴天日数は1年を通じて最も多く、気温も降下して、北海道らしい清涼な天候となり、秋の澄んだ爽(そう)快な空が見られることが多い。
初霜は室蘭、浦河などよりやや早く、10月中旬に見られ、10月の末には初氷も張り、近くの横津岳に初冠雪も見られるが、初雪は11月に入ってからのことが多く、北海道としてはいずれも遅い方である。