サイベ沢遺跡の骨製針(市立函館博物館蔵)
漁労具は回転式離頭銛によって外洋性漁業が行われただけでなく、固定式骨銛を使用して海獣やマグロなど大形魚類を捕獲した。またシカなどの骨製の釣針で浅海の魚も捕っていたし、アカエイの尾にある有毒な針を銛に仕掛けて使用していた例もある。アカエイの尾の針は尾部に隠れているが、両側に細かなとげがあって、体内に突き刺さると容易に抜き取ることができない。この針の毒をやじりや銛頭に塗って獲物を描っていたこともあったであろう。
遺跡から発見されてはいないが、漁網のほかに現今宮内庁が行う鴨猟に用いられる長い柄の付いたさで網又はたも網のようなものも作られて、魚や鳥を捕えていたであろう。網目は獲物の大きさによって定められ、深くなくとも鳥の頭や脚に絡(から)まれば飛ぶ自由を失ってしまう。現在鮭や鱒を捕るのに刺網が用いられるが、魚の頭が網に絡まれば、魚は逃げることができずに網と共に引き揚げられる。土器面に見られる縄の撚り方、結び方などの文様の工夫は、それ自体のほかに実生活に網がいろいろな面で使用されていたことを意味する。