装身具

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サイベ沢遺跡の土製垂飾品(市立函館博物館蔵)

 原始社会では体に彩色したり、耳や鼻に穴をあけて牙や骨をはめ込んで装う風習がある。美しく大きな鳥を射落した者はまっ先にその美しく形のよい羽を選んで頭に飾り付ける。獲物を捕えた時も、最初の槍を命中させた勇者は、その獲物を象徴する部分を取って飾る。未開民族は赤色を勝利のしるしとし、血を体に塗り付けることがある。何本もの牙を首飾りにしている者は、その動物をたおした数だけの牙を首に飾ることができるというような習わしによったもので、それぞれ人種と風俗によって飾り方はまちまちであるが、身体を飾るという行為は現今と変りがなく、縄文時代の遺跡で骨角、石、土で作った装身具が発見される。白鳥などの鳥骨管に文様を付けたものや、玦状耳飾りと呼ばれる碧玉(へきぎょく)製の装身具、また滑石に穴をあけてペンダントにしたものや、土製の飾り玉などがある。玦状耳飾りは時代や地域によって形態が違う。これに類するものに玦がある。玦とは中国の殷、周時代の佩(はい)玉で、偏平な環状の一方に切れ目がある。玦状耳飾りは日本では縄文前期から中期に現われる装身具の一種で、中国の玦に似ている。