続縄文文化(江別式・北大式)の分布図
恵山式の墓壙から出土する遺物には、破損品の埋葬が認められる。土器、石器、骨角製品で、尾白内貝塚の2体合葬の土壙墓では、人骨の頭部に甕(かめ)形土器の大きな破片がかぶせてあった。また、人骨の周辺から出土した石鏃も柄の部分が折れている。恵山貝塚の墓壙から出土した骨角製品にも破損品の副葬が認められた。この破砕の風習は未開民族の間に見られるキーリングの風習で、物忌みのために人為的に器物を破砕して副葬する。このキーリングの風習について、杉原荘介は弥生文化にもあったことを認めている。西桔梗B2遺跡の墓壙には、管玉、石鏃、石皿、土器の破砕片があった。管玉は前記の寺村光晴が指摘しているが、その一端を打ち欠いており、それぞれが墓壙内で不規則に配列していた。石鏃は7点出土の内、それぞれの基部が破損している。石皿と土器は、墓壙内の破片と墓壙外の破片を復原することによってほぼ完形品になり、これらは人骨を埋葬する際に破砕してその一部を副葬していたことがわかった。このような風習が弥生時代と共通していたとは言えないが、江別式の墓壙では、底部に穴をあけてから副葬する例などが見られる。