[2 箱館奉行の産業開発政策-「百物百工」をめざして]

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 箱館奉行の産業開発は、「土地御開拓」を中心とするものであったが「広く物産取開、往々百物百工とも致兼備、他国輸入品而已を不頼人民生活為致度見込」=本州方面からの移入品に頼らないで生活できるよう、必要な諸産業を多くの分野について興して行くこと、を目標にする面と、「精々御国益」を求めて行く(そのために、地域の条件にあわせて「取捨勘弁」する)面とを持っていた(前出「書類」)。従って、自立、自給の経済構造をめざして農業開発のみならず、多様な分野での開発が試みられ、しかし「御国益」の面での成果は、容易に得られる筈のものではなく、多く試行的な意味での成果にとどまったのである。