大区の下に置かれた小区内限りの経費は、小区割区入費とか町内区入費、町内入費と呼ばれ、町用掛が所管する小区扱所がその収支を担当していた。これもやはり半年分を「第何大区何小区小区割計算表」という形で町内に示し、「細目承知イタシ度者ハ町用扱所ヘ罷出帳簿閲覧可致」と町用扱所名か町会所名(11年からは函館区務所名に統一)で書き添えられていた。大区割の計算表と同じく「払之部」と「取立之部」があり、「払之部」は当初は町用扱所経費と消防費等という形が多かったが、これも11年からは扱所地代金、書記小使月給、筆墨費、諸紙費、備品、小買物費、薪炭油、修繕費、消防費、道路費、臨時費等費目が詳細になった。しかし町内限りの費用ということもあって費目が多岐に亙ったため、同12年には給与費、備品費、需用費、防御費(消防費)、臨時費、雑費に整理された。また月毎に支払合計表が町用扱所から町会所へ提出されていたが、これも明治12年からは先の整理された費目が印刷された「小区費合計表」という罫紙が用いられている。「取立之部」については、大区割区入費と同様地価割で、扱所管内の土地に割当てられている。
明治11年度の小区費は約3300円、大区費は約3100円で函館市中の総区入費は1か年約6400円ということになる。このうち町用掛書記小使の月給等人件費が占める割合は、小区費が61パーセント、大区費が68パーセントである。またその人件費に関しては、小区費を所管する小区扱所の責任者町用掛の給料も、小区費に含まれるのではなく大区費に組み込まれており、区戸長の給料が官費支給なのとあわせて重層複合構造となっている(「区入費評議留」道文蔵)。