この時、別に支庁官制が制定され、「本道庁各支庁官制左ノ通制定ス」との達書のもと、ようやく支庁長、次長、属の職掌が定められているが、翌3月12日にはわざわざ達書を出し「当分」の文字を加え「本道庁各支庁官制当分左ノ通制定ス」と修正しているほどである。このことは北海道庁開庁から10か月後に実証されることになる。北海道庁になってから始めての官制改正を実施した同年12月28日、閣令第37号を以て両支庁が廃止され、主要業務は本庁に収束、その他の事務は郡区役所に任せる体制となった。岩村長官が標榜した冗費節減、事務の簡易化を目指した改革であった。支庁長時任為基は宮崎県知事(勅任官2等下級俸…3500円)に転出した。
課名 | 事務分掌 |
長官附 | 理事官4人、長官ニ専属 |
庶務課 | 官印管守機密文書及職員進退黜陟、統計、官報、報告記録 文案起草文書授受及各課呈出回議審査、教育 他ノ課部二属セザル事務 |
租税課 | 租税徴収及予算決算、地籍及地券 |
勧業課 | 殖民開墾製造運輸及物産販売、農工商及漁猟牧畜其他営業 銀行会社専売特許及商標登録 |
土木課 | 河港道路排水橋梁堤防溝渠、官舎倉庫建築修繕 土地及気候測量并地図編製、森林鉱物 |
会計課 | 経費ノ予算決算及金銭出納、建物物品及其他財産ノ管理 物品購買及交付、貸与金及諸公債 |
警察本署 | 警戒検察及消防、未決已決囚ノ監護、戸籍衛生病院及墳墓 徴兵恩給及扶助 |
集治監 | 集治監ノ監護 |
屯田兵本部 | 屯田兵ノ配置及授産、屯田兵編成及非常警備 ※明治19年3月12日屯田兵本部を削除 |
炭鉱鉄道事務所 | 煤炭ノ掘採及販売、鉄道事業 |
紋鼈製糖所 | 甜菜糖ノ製造及販売 |
農学校 | 農学士養成 ※明治19年3月12日追加 |
函館支庁分課
明治19年2月22日制定道庁事務分課『明治十九年函館支庁布達々全書』、「函館新聞」より作成
課名 | 課長名 | 分掌事務 | 元函館県の担当課(係) |
庶務課 | 村尾元長 | 官印管守機密文書及職員進退黜陟 文案起草文書授受及各課呈出回議審査 統計、官報、報告記録、教育 他ノ課部二属セザル事務 | 庶務課(職務係、調査係) 記録係、学務課 |
租税課 | 野沢房迪 | 租税徴収及予算決算、地籍及地券 土地及気候測量并地図編製、森林鉱物 | 収税課、地理課 出港税係 |
勧業課 | 二木彦七 | 殖民開墾製造運輸及物産販売 農工商及漁猟牧畜其他営業 銀行会社専売特許及商標登録 | 勧業課 七重農工事務所 |
会計課 | 石井広正 | 経費ノ予算決算及金銭出納 建物物品及其他財産ノ管理 物品購買及交付、貸与金及諸公債 土木営繕 | 出納課、土木課 |
警察本署 | 山内久内 (警部長) | 警戒検察及消防、未決已決囚ノ監護 戸籍衛生病院及墳墓、徴兵恩給及扶助 | 警察本署、衛生課、庶務課 (戸籍係)、兵事課 |
明治19年2月22日制定道庁事務分課『明治十九年函館支庁布達々全書』、「函館新聞」より作成