既刊の3紙が改題・組織変更をした30年代、函館ではもう1紙、第4の地元紙ともいうべき新聞が発刊されていた。この4番目の新聞は、29年7月創刊の業界新聞「函館商業新報」から始まり、「蝦夷日報」→「北海朝日新聞」→「函館公論」→「函館新聞」と改題を繰り返しながら(号数は継続)、30年中存続した新聞らしいが、廃刊については今のところ不詳である。創刊の函館商業新報についても、34年の『北海道庁統計書』に29年7月開業とあるほかはわからない。
この新聞については、34年6月から38年8月までの約4年分が国会図書館に保存されていたことからその存在がわかったもので、全容を明らかにはできないが、保存紙からわかる範囲内でこの新聞について次にまとめてみよう。なおこれら4紙のマイクロ複製版は市立函館図書館にも備えられている。