取締規則と製造方法

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 氷の貯蔵法等に関しての規制について『現行函館県警察規則 全』によって記すと次のとおりである。
 
  開乙第壱号 明治十二年二月四日
  氷貯蔵取締規則左ノ通相定候条此旨布達候事。
        氷貯蔵取締規則
  第一条 沼池溝渠等ニ溜滞スル汚濁水ノ氷ヲ貯蔵若クハ販売スルヲ禁ス。
   但、食用ニ供セサル分ハ此限リニ非スト雖モ届出許可ヲ受クヘシ。
  第二条 氷ヲ貯蔵スル者ハ毎年其採収ノ図面并ニ貯蔵所ノ地名ヲ詳記シ願出許可ヲ受クヘシ。
  第三条 採収ノ節ハ不潔ノ氷ト見認ルトキハ其採収ヲ差止ムルコトアルヘシ。
  第四条 貯蔵ノ節ハ其時々届出検査ヲ受クヘシ。若シ不潔ナルトキは貯蔵場ハ修理又ハ移転ヲ命シ、氷ハ第三条ニ準シ処分スルコトアルベシ。
  函第十五号 明治十三年二月廿一日
  昨十二年 二月 本使乙第壱号製氷貯蔵取締規則布達相成候ニ付テハ処分手続左之通相定候条此旨布達候事。
 
        製氷貯蔵取締手続 (抜すい)
  第一項 清浄ノ河泉池沼等ニ於テ製氷ヲ営業セントスルモノハ九月ヨリ十月迄ニ其地名ヲ詳記シタル河泉池沼及儲水場構造等ノ明細図三葉ヲ添へ、戸長ノ奥書ヲ得テ出願スヘシ。
  第二項 第一項ノ手続ニ依テ出願スレハ係官吏実地へ派出、儲水場ノ構造、原水灌漑ノ模様等ヲ検討シ、不都合ナキニ於テハ原水(ビール空壜拾本程)ヲ為差出分析審査ノ上許否スヘシ。
 但シ、許可ハ一期(甲年九月ヨリ乙年八月マテ)ヲ以テ限リトス。期限後尚ホ営業セントスルモノハ更二第一、第二項ノ手続ヲ為スヘシ。
  第五項 製氷ノ場所及製氷貯蔵ノ場所ヘハ警察官吏又ハ係リ官吏時々巡視シ、仮令許可シタル場所ト雖トモ有害不潔ノ掛念アルトキハ明治十二年乙第一号本使布達第三条第四条ノ処置ニ及フヘシ。
  第七項 前各項ノ手続ヲ経タル製氷ヲ地方ニテ販売セントスルモノハ左ノ看板ヲ製シ差出シ、烙印ヲ受テ門戸ニ掲クヘシ。
  但シ、本項ノ看板ハ卸売人ニ限ルヘシ。

[看板]


函館港より移出せる氷 『函館地方ニ於ケル凍氷業』(函館税関調)


明治37年北海道凍氷採取地積及び産額表


明治37年北海道凍氷採取地積及産額表(明治38年9月調 函館税関)(渡島国分の内訳)