以上みてきたとおり農村では収穫はおろか、食糧にも事欠く事態を憂慮し、九月二十六日、渡島郡農会では札幌税務監督局と函館税務署に対して明年度の地租の減免を陳情した。
一方、各町村長も被災民の救済をはかるために緊急協議を行い、十月五日、代表十三町村長が出札して道庁に地租免除および応急救済策の推進について陳情した。また十月二十三日、道庁では各支庁長を招いて不況、被災対策について会議を持った。
そこで話し合われたのは大きく次の四点である。救済土木事業、窮民の生活補助、明年度の種子の配給、地租の減免などであり、その結果、地租は免除になり、三分作の地域も同様に取扱われることになった。
更に十一月十五日、道から凶作救済対策道庁案が提示された。それによると予算額四四二万一、二〇〇円で次の事業が行われることになっていた。
道路、橋架、護岸などの改良修繕工事
燕麦の食用化を図り、これに必要な器具購入者に対し、購入費の五割を補助
各種の副業の奨励
食糧給与
種苗の給与
学用品の給与
これらとは別に道では国に対し、種籾(もみ)および肥料購入資金として二二六万五、八八八円の融資を交渉した。
村の受けたその後の災害
昭和六年以降にも、亀田村は次の災害に遭っている。
昭和七年 水害凶作 昭和九年 冷害 昭和十年 冷害風・水害
昭和十一年 水害・虫害 昭和十二年 風水害 昭和十八年 干害
昭和十九年 病害 昭和二十年 冷害凶作
ここではその幾つかの実情の概況だけを記述する。