一 本村農業の特色について
(一) 耕地面積の内、水田化は約二割、平地も畑が多く、畑作主体の農家は全農家の約三分の二を占める。
(二) 村平均の一農家耕地面積は二町一反四畝、北海道では経営規模狭少の方で、男爵薯の後作が蔬菜、飼料二毛作なので、土地利用率は高い。
(三) 経営面積は狭少ではあるが、田畑兼作のため労力の不足を来し、品質、生産量の向上に制約を加えている。
(四) 地力は亀田川流域以外は、心土は礬(ばん)土層のため反当り生産力低く、かつ施肥は函館市の人糞尿に依存のため、地力減耗、酸性土壌が多い。
(五) 家畜面では馬が多く、牛は少なく、また小家畜飼育頭数も他町村に比較して低い。
(六) 立地条件では函館市に接続し、交通の便は良く、農業経営上恵まれている。
二 農業振興の阻害条件について
(一) 気候が海洋性を帯び、春先は偏風が多く冷涼気候が続き、作物生育に影響が大きく、特に果樹栽培は不能に近い。
(二) 心土に礬土層を有し、土地の生産力の低い耕地が多い。
(三) 春秋の農作業は著しく制約せられる。
(四) 施肥の大部分は函館市の人糞尿に依存しているので、この運搬力が過大で合理的経営への移行を制約している。
(五) 約一八〇町歩の水田は、六月上旬より七月下旬までは、用水が不足になる。
(六) 財政的に貧困なため農業振興の事業を自分で取上げ得ない。