生産の状況

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 北海道の馬鈴薯栽培はその大半は澱粉用の栽培であり、その他は食用目的の栽培であるが、亀田村の種薯栽培は他の澱粉用、食用などの栽培と異なり種子用としての特殊目的の栽培であるため、すべて充分な注意と周到な肥培管理を要するので、昭和二十三年以来馬鈴薯採種組合を結成し、次の採種体系を確立して優良種子の生産に邁進している。
 
  原  種(国営原種農場生産の純系種配布)
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  第一次原種圃経営  経営費七〇万円  A団地 亀田村字東山学林  B団地 亀田村字桔梗中の沢
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  第二次原種圃経営(各部落共同管理)
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   採 種 圃(農家戸数六一二戸)
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   本州府県出荷
 
 なお、組合員農家は、植物防疫法に基づく北海道馬鈴薯生産販売取締条例による登録済であって、種薯栽培に当り次の国営防疫検査を受けている。
 
(1) 種薯の検査    三月下旬種子消毒および輪腐病の有無を紫外線照射による検査
(2) 植付前の圃場検査 三月下旬輪作および環境の検査
(3) 植付後の圃場検査 第一回六月十五日前後、発芽後伸長五寸程度、第二回六月三十日前後蕾(つぼみ)より開花期までの間、第三回七月二十日前後、落花後二十日ころまでの間
(4) 収穫選別検査   掘取期より選別期までの間
(5) 移出検査     農産物検査法に基づく検査で、これに合格したものを出荷
 
 この検査以外、施肥、中耕に至るまで全く特殊な技能を要するわけで、澱粉、食用の栽培地で到底想像もおよばないほどの手数と経費をかけて作り出された種薯である故、本州府県各需要地で栽培された成績が極めて良好であるため、年ごとに需要も増加し「亀田男爵薯」の声価も一段と高まった。

種子用男爵薯の生産及び移出状況