各種検診

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 さきに終戦後の村の保健・衛生状況を概観したが、このうちから特に結核検診、脳出血死亡、胃ガン検診などについて、渡島保健所の資料に基づき、当時の住民の健康状態をみると次のような結果が出ている。
 
一 結核追放検診
 昭和三十年代、本村における結核の発生状況は、依然として減少の傾向なく現在におよんでいるが、このことは主として自覚性のない患者を含む一般住民の検診の不徹底によるところが多いとみなされ、村ではこれらの患者を早期発見するため、特に一般住民を重点的に三か年継続計画で全村にわたって結核検診を行って、少なくとも三か年に一度は全村民がもれなく検診を受けるよう実施した。三十二年度は本町・港・昭和・桔梗・西桔梗地区の検診を行った。
 翌三十三年には、村は上磯保健所と共同で全村民を対象に、九月上旬から検診を実施したが、住民の理解も深まり、早期発見の効果も高まってきた。更に三十四年も続けられたが、昭和二十六年以降三十六年までの結核発生状況を死亡数と対比して挙げてみると、次のようになっている。

最近の結核発生状況

 
二 脳出血検診
 昭和三十三年ころは、脳出血で倒れる人が目立って多くなり、亀田村では脳出血が死亡原因の首位を占めていた。そこで村では同三月の農閑期を利用して血圧健康診断相談会を実施しているが、その結果は、三七五人が受診し、そのうちの二八・八%に当る一〇八人が高血圧症者であることが判明した。この高血圧症者を要治療、要注意に分けると要治療者が六二人で五七%を占め、残り四六人が要注意者となっている。
 この結果により高血圧と診断された者については、予防と治療に重点をおいて指導し、相談に応じてきた結果、七月期ころには既に平常に復した者も出るほどの効果を上げた。しかし農村の通弊として、農繁期においては自然身心の疲労過大となり、血圧に影響を与えていると察せられることから、引続き八月期には前回同様の要領で血圧測定と健康相談会を開催し、健康保持に力を入れてきた。
 
三 胃がん検診
 結核検診、脳出血、高血圧検診などにより住民の健康保持に意を尽くすとともに、胃がん対策にも処置を講じてきているが、昭和四十年代の中から、胃がん検診結果の状況を挙げると次のようになっている。
 昭和四十年十一月十日より三日間、亀田町が実施した胃がん検診の結果が、札幌医大から通知されているが、これによると、町内から受診した者三四八人、うち異常者一九三人が発見されており、異常者の内訳をみると、
 
 ・胃がん    一一名      ・胃潰瘍   五三名
 ・十二指腸潰瘍 二八名      ・胃下垂   七八名
 ・ポリープ    八名      ・胃 炎    六名
 ・瀑状胃     五名      ・その他    四名
 
 となっており異常者の率は五五%を占めている。五五%の異常者には医師の指導を受けさせているが、容易に好結果は出ていない。
 更に四年後、四十四年六月二十四日より四日間公民館と青年研修所において行われた胃がん無料集団検診の結果を、渡島保健所資料によってみると、受診者三〇八人の一五・五%に当る四七人に何らかの異常が認められ、その内訳は次のとおりである。

胃がん集団検診結果

 胃潰瘍と診断されたもの一六名で、異常者の三四%を占め、そのうち男が一〇名である。胃下垂も多く一一名、うち婦人が九名、この胃潰瘍と胃下垂で異常者の四〇・四%を占めていることは、この種の病気がいかに多いかを物語っている。
 年代別に比較すると、五〇代の異常者が一番多く、一八人の受診者の二〇・四%と高率となっていることに注意を要する。四〇代は受診者九〇人に異常者は少なく、三〇代では受診者八二人で異常者は一三人、一五・八%を示している。この比較から見て三〇代の人は若さに任せて無理な生活をしているのではないかとも思われる。