1 亀田村函館市合併実現に関する請願書
亀田村と函館市とは其の地理的関連性に依り、政治経済文化の何れの面から看ても不離不可分の関係におかれている事は否定できない事実である。従而函館市の消長は即亀田村の盛衰となり、住民の利害得失は市村を問わず平等に享受しなければならない訳である。しかも現下逼迫した市村相互の経済事情からみても、宿命的連繋より考えても、将来いよいよ叙上の事実の深刻化することは忌み得ないが、函館市はこの必然的な動向を明確化して、市村の共存共栄を図るべく十数年前より一大都市計画を立案し、その計画の一環として市村合併を切実に提唱して来た。
而して亀田村に居住する村民として現段階が且に市村合併の急速に実施される市村の状態に直面且つその時期に到来せることを確認し、昭和二十三年八月十七日『亀田函館合併促進同志会』を結成して、真に市村合併を希求する村民の自由なる意志に基づく合併賛成を表明する署名運動を行った結果、昭和二十三年九月十八日現在に於て、亀田村総有権者(基本名簿及び推定による)八千五百五十六人に対し、字港二千九人、字港鉄道敷地八百四十四人、字本町四百四十三人、字富岡の一部百六十五人、字中道の一部百二十三人、字本通の一部九十七人、合計三千六百五十人の合併賛成を表明する村民の意志を確認することができた。
即ちこの住民の輿論は畢竟するに函館市との隣接地区に在住する一般消費階層の大半がその生活条件確立の上から、市村合併を切実に願望している現実の証左であって、合併賛成を表明している者三千六百五十人の居住地区即ち字港(鉄道敷地、港寮地区を含む)字本町、字富岡の一部、字中道の一部、字本通の一部に居住する総有権者数(基本名簿及び推定に依る)四千三百八十五人と対比するときは、八三・二%という合併賛成絶対多数の輿論が明瞭である。
斯の正しい世論に対し、農村の将来性と市村の経済的関連性をふかく認識している農民の一部にも、合併賛成を要望している事実も察了されるので、合併賛成多数の地域的状勢と意義に立脚し、亀田村政の決定権を有する民主村議会に於て市村合併に対する必然的時期到来の事情を把握し、これが急速の実現あらんことを念願するものであるが、全村合併に、いまだ余地あるとするならば、賛成署名絶対多数地区たる字港(港寮・鉄道敷地を含む)、字本町、字富岡の一部、字中道の一部、字本通の一部の輿論に鑑み、多数住民の幸福のため、地域合併の議に付、慎重御審議相成様本件を採択可決あらんことを地方自治法第百二十四条に依り請願する。
昭和二十三年九月二十日
亀田郡亀田村字港二九八
亀田函館合併促進同志会代表 釣 谷 武 三
亀田村議会議長 守 田 武 雄 殿
2 合併反対請願書