戦後復興の鍵は先ず郷土の振興発展に在りと自覚せる吾々農民は、食糧増産を通じて郷土亀田村の振興発展を計らんと日夜営々努力し居る秋、亀田村函館市合併問題は函館市よりの一部合併申入れにより重大問題化し、先人の血と汗により築き上げられた郷土の将来は一部功利主義者の指導により函館市に依存して自己の安逸を夢見る在住の日浅き一部住民の誤れる声となり、不幸なる状態に立至らんとする危険に遭遇せり。
吾々農民と雖も消極的な殼の中に閉じこもらんとするに非ず。郷土亀田村の振興発展は吾々の力での進取的気迫に燃えて、農民組織の強化農業技術の向上農村文化の発達農地改革の完成等、農業基盤の確立に邁進致し居るものにして、吾々農民のこの理想実現を阻害し、亀田村の将来に不幸を招来する一部合併の如きには、断乎反対するものなり。よろしく事態を御明察の上、在住日浅く愛村観念乏しき者の声に耳を奪われる事なく、一部合併申入れを否決せらるる様地方自治法第百二十四条に依り請願す。
昭和二十三年十一月五日
港・西桔梗地区農民代表 沖 野 倉 吉
亀田村議会議長 守 田 武 雄 殿
イ 亀田村振興会代表の請願書
吾々亀田村住民は過日来よりの亀田・函館合併問題に関し、重大なる関心を以て其の経緯を観察して居りました。然し全村問題一応否認の形式となるや現在は分村合併の段階に入り、其の間の市の提示せる合併に関する内容は全く函館市自体の立場より其の必要性を力説するのみで、真の市村民の生活の幸福を招来する如き計画内容は片鱗も伺う事が出来ず徒に其の成果を急ぐ感を深うして居ります。
茲に於て吾々は市村合併に依る吾々の立場或はその生活内容を深く検討調査し、更に亀田函館の現状並に将来を思い、真に吾々の生活の基盤は飽く迄現状に行くべきを確信し、同憂の者互に別冊に署名し現在の分村合併に対しては、断呼反対の意を表明する次第であります。
元より吾々の署名は一時的な言辞に陶酔したものでもなく又一方的な考え方に依り為したものでもなく、本問題に対する正しき認識を持って、各自の自由意志に基づくものにして、絶対吾々の信念の発露なる事を断言します。故に吾々の真の意志は十分之を容れられ多数住民の反対意志を貫徹せられん事を祈念致します。
猶本署名は全村的に更に続行中にして、逐次御報告致しますが、取不敢現在迄の各地区の住民の輿論を別紙第一に明示してあります。何卒亀田村議会に於かれては吾々の真の祈求する心情を十分御賢察下されんことを地方自治法第百二十四条に依り請願致します。
昭和二十三年十一月二十二日
亀田村振興会代表 川 島 徳 次
亀田村議会議長 守 田 武 雄 殿
地域別反対署名人員一覧
3 市村合併変更に関する請願