自治振興調査特別委員会の関係記録綴は四十四年から四十八年にわたり、八冊に及ぶ。以下はその要項である。
四十五年一月十二日、町議会に対して、函館商工会議所会頭田中誠一郎および亀田町函館市合併促進期成会長高木直行並びに同日町内の合併促進期成会長成田市太郎から提出された後掲の要望書に基づき、一月議会において改選前と同様、特別委員会を設置することになった。今回は一三名をもって構成し、二月四日の第一回委員会において、委員長田中本司郎、副委員長吉田二郎を互選した。要望書は次のとおりである。
要 望 書
要 旨
亀田町議会議員の改選に伴い解散した「亀田町函館市自治振興特別委員会」を再設置すると共に函館市亀田町合併の早期実現を図られるよう要望いたします。
理 由
亀田町と函館市の合併問題は、永年にわたっての重要課題でありますが、種々の事情のため未だにその実現をみるに至らないことは、函館地方発展のためにも遺憾に堪えないところであります。
今更申し上げるまでもありませんが、貴町はじめ、昨年“函館圏総合開発基本構想”を策定して、これを第三期北海道総合開発計画に反映させるよう努力を重ねておられることは、誠に御同慶の至りに存じますが、この目的達成のためには先ず函館市と亀田町の合併実現こそ焦眉の問題であることは論をまたないところであり、合併こそ将来の南北海道の発展の基礎となることを確信してやみません。
御高承のとおり函館市亀田町の合併につきましては、両地域住民の意識調査によっても明らかであり、住民の大半がその必要性を痛感すると共に一日も早く合併するよう願望している次第でありますので、貴議会におかれましても、これら世論を充分御洞察賜り、利害得失をこえた大局的見地から、“亀田町函館市自治振興調査特別委員会”を再設置され、亀田町及び函館市の合併促進のために積極的措置を講ぜられることを要望申し上げる次第であります。
昭和四十五年一月十二日
函館商工会議所会頭 田中誠一郎
亀田町函館市合併促進期成会長 高 木 直 行
亀田町議会議長 殿
要 望 書
要 旨
さきに貴職に御願いしてありました亀田町と函館市の合併に就いての審議も、亀田町議会議員の改選に伴い結論を得ぬままとなっていると思いますので、当案件を審議する特別委員会を設置し、両市町の合併が早期に実現するよう要望致します。
理由
亀田町と函館市とは地理的条件経済的条件は申す迄もなく、亀田なくして函館なく、函館なくして亀田なしの状態です。
此の点については既に函館大学北海道産業開発研究所に於て詳細なる調査結論が明示されておりまして、今更世人の論をまつ迄もないものと思います。
道南の開発、函館経済圏の確立のためにも、一日も早く亀田町函館市の合併実現を期せねばならぬことは、賢明なる貴職の熟知することであり、私共地域住民の永年の念願であります。
地域百年の大計を建てるため何卒大局的見地にたって、此の両町市の合併実現を期せられるよう切に要望致します。
昭和四十五年一月十二日
亀田町函館市合併促進期成会会長 成 田 市太郎
1 特別委員会初開催(二月二〇日)
第一回亀田町函館市両市町自治振興調査特別委員の初会合を開催して懇談した。
函館市側出席委員
金田一茂 吉崎司 田中光子 小林清 佐山悦郎 浜西竹男 能登良三
川崎守 勢田金次郎
亀田町側出席委員
田中本司郎 吉田二郎 山村衛敏 秦徳雄 佐々木正 亀谷利春 平野重治
丹信樹 鈴木勉 迎町春光 伊藤安昌 寺田八郎 土井勝雄
2 第二回委員会(三月六日)
「亀田町函館市合併促進要望書」について、委員会の性格、任務について検討、理事会を設定することを決め、次の五名を理事に選出した。
田中本司郎 吉田二郎 寺田八郎 伊藤安昌 土井勝雄
3 第一回理事会(四月九日)
「亀田町函館市合併促進要望書」審議に伴う資料調査および検討について、予算について調査するとともに、以下の諸項目を検討することを決定した。
基準財政収入額等調 自主財源依存財源内訳調 建設事業費 決算 諸税比較調 固定資産評価に関する調 償却資産、地域及び人口に関する調 道路及び鉄道軌道並びにバス路線延長調 学校教職員および児童生徒数調 起債償還計画
4 両市合同理事会開催
5 第二回理事会(五月一五日)
「亀田町函館市合併促進要望書」審議に伴う「関係資料」の検討協議
6 第三回委員会(五月二〇日)
前回の件につき、資料を検討した結果、財政的な面の検討を進めると同時に再度関係資料の整備を行ない、具体的な問題点を検討することになった。整備資料としては、
ア 都市計画税の課税客体と固定資産評価の関連について
イ 区画整理、都市下水道事業実施による税および税外負担の区分(条例規則関係)
ウ 農業関係の事業実施についての税外負担関係
エ 労働費の内容、予算分析
オ 町市有森林の年度別財産評価について
カ 農林水産業費、農家に対する予算の町市の割合
キ 特別会計、公営企業会計についての資料
ク 税外負担についてはイ、ウ以外のものを含め資料を求める。
以上八点の資料を整備し、次回の委員会において調査検討を重ねることとした。
7 第三回理事会(六月二五日)
「関係資料」の検討協議。
8 第四回委員会(六月二六日)
前回の資料について検討
9 第五回委員会(八月一〇日)
「要望書」の審議および視察経過報告
行政視察復命
第一班 岡山県岡山市 愛知県東海市 東京都北多摩郡久留米町
第二班 岡山県倉敷市 東京都狛江町 東京都清瀬町
10 第四回理事会(九月二日)
「要望書」審議に伴う函館市(旧銭亀沢村地区)調査日程その他協議について
11 第六回委員会(九月一七日)
「要望書」審議および銭亀沢地区視察実施について
銭亀沢地区視察実施は九月二十一日とし、要項を次のように決定した。
ア 地区公共施設および産業施設等地区振興計画を中心に視察すること。
イ 地区住民懇談会は次の事項を主とすること。
振興計画について 支所機構について 合併後の行政について
12 第七回委員会(一〇月一三日)
ア 銭亀沢地区視察結果について
「当委員会は今後の審議方向として、提出された資料の検討とともに、その過程における視察および函館市との話し合いを行い、要望事項について慎重な検討を行うものとする。」旨の結論を得た。
イ 提出資料の審議
13 第八回委員会(一〇月二七日)
提出資料の審議
14 第九回委員会(四六年一月一九日)
「要望書」審議
15 両市町特別委員会懇談会(二月五日)
ア 両市町特別委員会経過報告
イ 銭亀沢地区視察による当地区振興計画実施状況等について
16 第十回委員会(二月二五日)
「要望書」審議
17 第十一回委員会(五月一九日)
函館市側は「合併調査」のための委員会、亀田町側は「自治振興」のための委員会、合併を前提としたものであるべきだという意見と、与えられた任務を行うべきだという論が対立していた。
18 第十二回委員会(九月一六日)
町長、助役出席
今後の調査項目は両市町ともに、
ア 教育 イ 土木 ウ 産業 エ 労働 オ 民生(社会福祉)とすることとした。
19 第十三回委員会(一〇月三〇日)
教育関係資料検討
教育委員会より学校教育課長および庶務課長が出席して資料について説明した。
20 第十四回委員会(一一月一七日)
ア 亀田市函館市学校施設の調査
イ 教育関係資料審議
前回と同じく教育委員会より両課長が出席、説明した。
21 第十五回委員会(四七年一月一一日)
教育関係資料審議の取りまとめ
22 第十六回委員会(二月一日)
ア 教育関係資料審議による取りまとめについて
イ 委員会のあり方について論議、藤谷議長も出席。
「特別委員会は亀田函館両市にわたる合併問題に関する調査および広域行政に関する調査の二点について要望書の趣旨に基づく調査研究を行い、この結果について議会に報告する。」ことを確認した。
23 第十七回委員会(二月一〇日)
教育関係資料審議による取りまとめについて
24 第十八回委員会(三月一日)
教育関係資料審議による取りまとめ、および土木建築関係資料審議
25 第十九回委員会(四月一七日)
教育関係審議の取りまとめについて
土木関係資料審議について
26 第二十回委員会(五月三〇日)
教育関係審議の取りまとめについて
土木関係資料審議について
27 第二十一回委員会(七月一二日)
土木関係資料審議
28 両市特別委員会懇談会(七月二五日)
函館市側、高木委員長ほか一一名出席。函館市は「函館市亀田市合併調査特別委員会」と名称を変更した。
29 第二十二回委員会(八月一五日)
土木関係資料審議
30 第二十三回委員会(九月一二日)
土木関係資料審議
31 第二十四回委員会(九月二七日)
土木建設関係調査結果について取りまとめ(九月、函館市から亀田市域振興構想素案―函館市第一次案―を亀田市に提示)
32 第二十五回委員会(一一月一四日)
土木関係資料審議の取りまとめについて
産業労働関係資料審議
33 第二十六回委員会(一二月七日)
産業労働関係の資料審議
特別委員会中間報告について
(十二月、亀田市議会において住民から提出された合併促進の陳情を総務常任委員会に付託)
34 第二十七回委員会(四八年二月一日)
産業労働関係の資料審議
35 第二十八回委員会(二月一六日)
産業労働関係の資料審議の取りまとめについて
36 第二十九回委員会(四月一八日)
産業労働関係の資料審議の取りまとめについて、民生関係の資料審議について
(四月、亀田市から亀田市域振興構想素案―亀田市第一次案―を函館市に提示)
37 第三十回委員会(五月七日)
産業労働事項取りまとめ、民生福祉関係資料審議
(五月、亀田市議会総務常任委員会において、住民から出されていた合併促進陳情書を採択。臨時議会において総務常任委員長の報告―合併すべきである―とおり決定)
38 第三十一回委員会(六月一五日)
民生福祉関係資料審議その他資料審議
以上長期間にわたり熱心に審議が続けられた。