北海道一級町村制の施行

13 ~ 15 / 521ページ
 大正八年四月一日、銭亀沢村も亀田村、木古内村、戸井村などと共に北海道一級町村制の村となった。昇格基準は人口が五〇〇〇人を越えること以外明確ではない。
 一級町村制では村長は村会で選挙し長官が認可するものとなり、町村長補佐として助役も置かれ、給料・旅費なども町村が支出することとなった。村長には、大正三年から村長の職にあった第五代目の村長加藤亀五郎が六月の村会で選出され、北海道庁長官に認可された。なお、加藤が昭和二年まで二期八年村長を務めた後は、桜井栄三郎(二期八年)が村長となり、ついで宮島与作(二期八年)、西沢勇一(昭和十八年から二年)と続いている。
 村会議員選挙では、公民資格(三年以上住居、地租年額四〇銭以上、直接国税二円以上、もしくは耕地、宅地三町歩以上所有)が設定され、一、二級の等級選挙制(半数改選で任期六年)となり、議員の定員も人口に応じて八人から二四人と増加され、銭亀沢村の議員定数は一六人となった。また、村会の議決事項も、村条例の設定ならびに改正ができるようになり、村費支弁事業、基本財産および積立金穀などの処分、村有財産および造営物の管理方法などを審議する権限が付加された。
 村会議員は大正七年に改選がおこなわれたばかりであったが、一級町村制施行直後に一、二級選挙が実施された。その後、二回、半数改選選挙がおこなわれ、衆議院議員選挙が普通選挙制となると、市町村議員選挙にも普通選挙制が導入された。銭亀沢村でも昭和三(一九二八)年の選挙から普通選挙が実施され、定員も一八人となった。これらの選挙結果を示したのが表1・1・10である。
 ところで、昭和四年の木古内村、知内村、同五年の上磯町、戸井村、同六年の函館市、亀田村、同七年の大野村と道南の市町村では軒並みに大字を廃止して字を整理する作業がおこなわれた。銭亀沢村でも昭和八年十月二十五日、それまでの大字小字を廃止して中字的な字とする整理が実施された。
 廃止された大字ごとに新しく整理された字を示すと表1・1・11のとおりである。なお、廃止された小字で新しい字に採用されなかった字名は、大字石崎村では、谷地町、中村、目名町、中鶴澗など、大字銭亀沢村では、本村、冷水、古川尻、長坂など、大字根崎村では、土場、根崎浜、寒坂などであった。
 
表1・1・10 村会議員選挙結果2
大正8 ,2級選挙大正半数改選大正4半数改選昭和3選挙昭和7改選昭和改選昭和5改選
氏 名氏 名氏 名氏 名大字名 小字名氏 名字名 氏名氏 名
1級木村豊吉木村豊吉木村豊吉銭亀沢村湊木村豊吉木村豊吉川村弘
木村巳之松木村巳之松木村巳之松銭亀沢村古川尻木村巳之松古川町木村巳之松佐藤与五郎
松代覚蔵村田平太郎村田平太郎石崎村 目名町村田平太郎石崎村田平太郎村田平太郎
中宮亀吉中宮亀吉中宮亀吉志苔村 志苔中宮亀吉志海苔中宮亀吉中宮亀吉
高野福三郎高野福三郎高野福三郎志苔村 志苔高野福三郎志海苔高野福三郎高野福三郎
瀬川巳之松瀬川巳之松竹内助次郎銭亀沢村本村津田久次郎銭亀岩田久次郎岩田久次郎
井口藤太郎沢田弥五郎松井菊松石崎村 谷地町松井菊松石崎松井菊松松井菊松
川島仙蔵川島仙蔵瀬川寅吉根崎村 寒坂寺谷勇平根崎和泉寅吉和泉寅吉
松田米松(補宮川熊太郎(補
2級沢田富五郎平田久蔵平田久蔵銭亀沢村中野小林仙吉銭亀和泉吉三郎村下又四郎
本間勝太郎本間勝太郎本間勝太郎銭亀沢村古川尻本間勝太郎古川町九島千代治九島千代洽
黒高久太郎黒島久太郎沢田富五郎根崎村 根崎浜沢田彌五郎根崎沢田彌五郎柴田梅太郎
九島喜代吉九島喜代吉九島喜代吉銭亀沢村湊九島喜代吉九島喜代吉九島喜代吉
高井豊作高井豊作高井豊作石崎村 石崎川島邦彦石崎川島邦彦川島邦彦
中村長兵衛中村長兵衛中村長兵衛石崎村 白石阿部雄蔵石崎山田徳五郎山田徳五郎
沢田松之進沢田松之進沢田松之進石崎村 石崎沢田松之進石崎沢田松之進沢田義三郎
菊地初太郎菊地初太郎森川盛石崎村 中鶴澗森川盛鶴野川村沢蔵川村沢蔵
大谷安兵衛根崎村 土場亀井貞吉根崎大谷安兵衛大谷安兵衛
福島平次郎根崎村 高松福島平次郎高松福扁平次郎福島平次郎

「函新」により作成、昭和7年の改選は昭和8年および昭和9年『村勢一班』による
注)大正8~14年までは1、2級選挙
  昭和3年から普通選挙
  昭和7年の改選欄の小字名と字名は、8年に大字小字を廃止して字に整理したので、この関係を示すために入れたものである
  (補とあるのは途中退任者があり、これの補欠当選者である
 

表1・1・11 新しい字名(昭和8年)
昭和9年『村勢一班』により作成