銭亀沢の地形三区分

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 銭亀沢では集落の多くが根崎から谷地町に至る、津軽海峡に面した海沿いに並ぶため、多くの人びとにとって日常的な行動の範囲は、海岸部の狭い低地が中心である。しかし旧銭亀沢村の範囲には、海岸集落背後の崖の上に見渡す限り広がる畑地や、巨大な函館空港の存在に見るように、台地が銭亀沢の自然を大きく特徴づけているといってよい(図2・1・1)。銭亀沢の台地は地形学的には海岸段丘と呼ばれるもので、函館市街域でも広い範囲を占めるほか、上磯や松前、江差など、道南の海岸部にはよく見られる。銭亀沢の海岸段丘はそれらの中でもまとまったものの一つである。
 銭亀沢の地形は、大きく山地、台地、低地に三区分される。山地が全体の約四割を占めるが、台地の面積がそれを上回り、人びとの主な生活の場である低地は、汐川沖積地を入れても五パーセント程度である。地形特徴を示す断面を三本引いて模式的に示したのが、図2・1・2で、崖に囲まれた緩やかな斜面や、場所によって階段状をなす台地の様子がよくわかる。また、海岸沿いの低地が銭亀沢ではいかに限られた土地であるかわかる。本節では、このような土地柄を持つ銭亀沢の自然環境、とくに地形環境を詳しくみていきたい。まず土地利用と合わせて各地形を概観しておこう。

図2・1・1 銭亀沢の地形とその区分
山地、台地、低地に区分されるが、広い台地の存在が銭亀沢の地形を特徴づける。

 

図2・1・2 銭亀沢の地形利用

人々の生活の場は、狭い海岸沿いに集中している。台地は畑地としての利用が主であるが、特殊な利用地として函館空港がある。縄文期の人々の生活の場は、もっぱら台地上にあったようである。
             A-A´、B-B´、C-C´の位置は、図2・1・1に示す。