この強い海風によって運ばれた海水の塩分が、函館地方の樹木や農作物に多大な塩風害を与えた。樹木の葉を採取した上平幸好の調査(「台風12号が函館地方の植物にあたえた塩風害について」『渡島半島周辺の風』講演会予稿集)によれば、検出された塩分濃度は大森浜から銭亀沢の海岸で特に高く、市内中心部の二、三倍の高濃度であった。上平は「特に海と直接に面して、さらに背後に山々が迫っている銭亀沢では、圧縮されたような形で塩分が集中する傾向にある」と指摘している。
図2・2・19 昭和62年9月1日09時の天気
〈昭和六十二年八月三十一日の塩風害〉