初夏~夏-ヤマセ

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  ヤマセ、タマカゼ沖で吹いてもおか近くは凪      【根崎】
  ヤマセと化物日暮れて(日暮れから)騒ぐ     【根崎(石崎)】
  アカヤマセは時化ず夜凪ぐ             【志海苔】
  アカヤマセに雷なし                【銭亀沢】
 
 この季節はオホーツク海に高気圧が現れることが多く、数日で解消することもあれば、強弱を繰り返しながら数週間居座ることもある。このときに、高気圧の南縁にあたる北海道から東北地方の太平洋側には、北東から東の風であるヤマセが吹き続ける。
 親潮の上を吹きわたってくるヤマセは、冷たく湿っていて、霧雨を伴うこともある。しかし、大気の成層状態が安定しているため、大雨や雷は通常は起こらない。ヤマセが吹いて時化となることはごく稀で、昼も夜も同じように吹き続けるのがヤマセの特性である。つまり、「時化ず」や「雷なし」というのはヤマセの天候状況を良くとらえているといえる。「日暮れて騒ぐ」というのは、日が暮れて周囲が静かになると、風の音が特に耳に付いて騒がしく思えるのだと解釈できる。一方、逆に「夜凪ぐ」というのは気象学的にも説明が困難である。
 また、銭亀沢にとっては、ヤマセもタマカゼも直接海側から吹き付ける風ではないので、沖の波に比べ、港ではそれほど波が高くならない。