生物認識調査の方法と対象

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 銭亀沢に在住する住民のうち、主に漁業に従事する複数の住民を対象に、海産生物についての認識調査をおこなった。銭亀沢に分布する海産生物のうち、特に漁獲対象種あるいはその可能性のあるものから、植物では海藻類一三種、動物では魚類二三種(表2・3・4参照)を選び、対象者にそれらの標準和名を告げてから、その種および近縁種を含む魚類図鑑(1984)および海藻図鑑(1970)の写真版を順番に見せて、該当種を選び出してもらった。それらの判定正答率から生物の判定能力を評価した。また、同時に該当種の地方名についての指摘件数も記録した。
 前述の判定能力調査と同様に図鑑を資料とし、魚類二〇七種、海藻類一三三種の写真版を調査対象者に見せ、それらのうち「見覚えあり」とするものを発見種、「呼び名あり」とするものを識別種として記録した。なお、この調査で使用した写真版には、あまり一般的でない銭亀沢分布種のほか、分布しない近縁種が多数含まれるため、調査対象者にとっては前述の判定能力調査よりも困難な条件で判断を強いられるものであった。また、写真版を見て対象者が指摘した魚類の地方名についての指摘件数も記録した。
 なお、調査対象となった四名の漁業者の漁業形態と操業期間は表2・3・5のとおりである。

表2・3・4 生物の判定能力調査に使用した動植物写真版の種名


表2・3・5 調査対象となった漁業者の操業暦