記録された鳥種や割合について、森林植生の函館山と比較すると著しく異なる。以下、函館山の概要を示す。
一八シーズンにおける函館山での記録は、七目二二科七三種一万五二三羽であった。秋だけに注目すると、七目二二科七三種一万一三五羽であった。このうち、スズメ目が最も多く、六二種一万三九七羽と全体の九八・八パーセントを占めた。スズメ目の鳥類の内訳を見ると、種数ではヒタキ科が二八種と多く、内訳はツグミ亜科が一三種、ウグイス亜科が九種、ヒタキ亜科が六種であった。ヒタキ科に続くのは、ホオジロ科とアトリ科の各七種で、シジュウカラ科が五種であった。個体数に注目すると、ヒタキ科は二八種五二二七羽で全体の四九・七パーセントを占め、特に多かった。ヒタキ科のうちツグミ亜科が一三種三九一一羽(全体の三七・二パーセント)、ウグイス亜科が八種一一四四羽(一一・七パーセント)、ヒタキ亜科が六種八七羽(〇・八パーセント)となり、ツグミ亜科が圧倒的に多かった。その中でもルリビタキが三一五四羽となり、ヒタキ科中で六〇・三パーセント、ツグミ亜科中では八〇・六パーセントを占めた。ホオジロ科は七種二二二一羽(二一・一パーセント)とヒタキ科に次いで多かった。このうちアオジが最も多く一一九〇羽となりホオジロ科中五三・六パーセントを占めた。シジュウカラ科は五種一二四七羽(一一・九パーセント)で、特に多かったのはシジュウカラの九五六羽でシジュウカラ科中七八・七パーセントを占めた。アトリ科は七種四二三羽(四パーセント)でベニマシコが三五七羽となりアトリ科中八四・四パーセントであった。
標識放鳥数の最も多い種類は、ルリビタキが三一九〇羽と全標識放鳥数の三〇・九パーセントを占めた。以下アオジが一一五四羽(一一・三パーセント)、ウグイスが八六二羽(七・八パーセント)、シジュウカラが九五六羽(八・五パーセント)、カシラダカが四八〇羽(七・三パーセント)、メジロが六八七羽(六・五パーセント)、ベニマシコ三五七羽(三・三パーセント)、ホオジロが二五七羽(二・五パーセント)、シロハラが二六〇羽(二・五パーセント)、モズが一九九羽(一・九パーセント)、ヒガラが二三四羽(一・八パーセント)と続く。
以上のように、広葉樹林からなる森林植生の函館山は明らかにヒタキ科が多い。個体数については他の種類と極端な違いが見られないが、湿原性の古川町および豊原町ではホオジロ類に偏る傾向にあった。つまり、函館山は多様性に富んだ自然環境-休息場や餌となる虫類や木の実、種など-を有しているため、多くの種を受け入れられるのに対し、古川町および豊原町は多様性に乏しいため、カシラダカなどの特定の種に優先的に好まれる傾向にあった。