〈番屋〉

241 ~ 241 / 521ページ
 イワシ漁の時期に、漁師が寝まりする建物を番屋(納屋というほうが一般的)といった。古川町の木村の番屋は、この地域に残る最後のもので、建物の規模も大きい。

木村漁場番屋

 写真の建物は、網船として使用した大型のサンパを入れた建物である。この建物の中には多くの漁具のほかに、ナカブネといわれる船が一艘残っているが、この船はここの漁場で使用した船の中では、一番小さい船であったという(口絵参照)。船型はサンパで三、四人乗りで使用した。このほかにここで使われた漁船には、ドカイ(胴海船)があった。ドカイはイワシを汲みとるための船でムダマの船であった(船の構造については後述する)。
 木村番屋では、浜小屋はヤクビトが入る小屋。若い衆は番屋に服を着たまま寝ていて、イワシが来ると、番屋に付けてあるガンガンを鳴らして漁師を起こした。