[日常の衣生活]

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 漁業中心のこの地区は、一年を通じ主に男性は沖に出ての漁、女性は家事、育児のかたわら畑仕事や漁を待って魚類のモッコ担ぎや昆布干し、磯草取りなどに携わってきた。特に、鰯や昆布漁の盛んな繁忙期には、家族総出で仕事に取り組まねばならず、男女とも終日仕事着で過ごすことが多く、仕事着が日常着でもあった。
 またドンジャの刺し縫いや足袋の下刺し、テッケシ作りやダンブ刺しなどの仕事着類の製作や補強を漁のない日や冬場、あるいは漁の合間の暇を見付けてはおこなうなど、この地区における日常の衣生活は、実用性、経済性を第一に考えて営まれていたといえよう。