一方、畑仕事は女性たちの仕事であり、男性が出稼ぎや漁に出ている間に残った年寄と女性で畑おこしから肥料運びまですべておこない、いろいろなものを植え、自家用食料は、たいていこれで賄ったという。
シャツジュバン(川村ヒロヱ蔵)
畑では上衣にワッポロ(ウワッパリ)やシャツジュバン(山シャツ)を着、下衣はモンペに地下足袋やゴム長靴などを履いた。地下足袋は素足で履くこともあったが、大方は軍足を履いた。下着には夏は晒の襦袢に新モスの腰巻き、寒くなるとネルの襦袢と腰巻きを着用した。頭には手拭や風呂敷をかぶったが夏は日除けに白天竺の中に新聞紙を入れひさしを作った。手には軍手をはめたが傷むとタブ刺し(タンブ刺しともいう)をして大事に使った。昭和初期には薄手の天竺木綿を細かく刺したテッケシやテンガケをはめた人もいる。ワッポロは絣地の普段着の膝などが擦り切れた物を使い、袖口にゴムを入れたので仕事がしやすかった。シャツジュバンは、縞柄や紺色無地や絣木綿の古い着物をたおしたものを使い、身頃は腰丈、袖には身頃と違う布地を使い、袖口は二センチメートルくらいのカフスを付けボタンで止めた。