冬の日常食

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 朝食は、春、夏、秋と同様一汁一菜であった。一般に朝食では魚を食べないが、家庭によっては食べる所もあった。
 昼食はいつも、イモ、カボチャに、イカの塩辛などを付け合わせて食べた。冬至の頃になると小豆カボチャを食べたが、カボチャのなくなった家はほとんどイモだけであった。
 おやつは、甘酒やソバネッカケであった。ソバネッカケは石臼で挽いたそば粉に黒砂糖を入れてお湯でといたものである。このソバネッカケを作る時、黒砂糖だけを食べてしまい、さらに黒砂糖だけを貰いにいく子どももいた。それだけ黒砂糖は貴重品でなかなか口に入らなかった。カント豆(ピーナッツ)もおやつにした。五銭で両手一杯買うことができた。
 夕食はご飯に三平汁であった。その他にシシャモや身欠きニシンを巻いて作った昆布巻きや、カラカラに乾燥したニシンの白子やカズノコを昆布巻きの汁で煮たものも食べた。
 イワシ漁の切り上げ(アゴワカレ)の時には神棚の下に台を置き、その上に、直径一五センチメートルくらいの二段重ねのお供え、お神酒と皿鉢にのせた魚(赤魚、スズキ、ブリなど)を供え、吸い物膳で祝った。その時の献立はゴボウ炒め(キンピラ)と塩魚・豆腐・ネギの魚汁を基本とし、それに魚の煮付け、タラの刺身(皿鉢に盛り付ける)、大根と人参の酢の物(鮭のイクラ入り)とお汁粉であった。糯(もち)米二俵を搗(つ)いて大鍋にお汁粉を作り、村中の人に大盤振る舞いをした。子どもたちももらいにきた。