このほかに、自営漁家住宅の別種に、大規模経営漁家の経営する鰯漁に従事したり、遠洋漁業や他地域の漁場に出稼ぎにいく漁民層および給与生活者の住宅である(`a)がある。この雇用漁民住宅は、ほぼ自営漁家住宅と同形式であるが、屋敷地の形態は異なり、昆布乾燥のための干場およびこの地域で雑蔵と呼ばれる加工場がなく、従来の集落のはずれや国道から離れた段丘上に分布している。屋敷地の開発時期が、自営昆布漁家のそれよりかなり後であるにもかかわらず、給与生活者の住宅が自営漁家住宅と同形式であることは、両者の住い方に違いがあまりないことをうかがわせる。
表4・3・1 銭亀沢地区の各住宅形式比較表
注)住宅形式は一般的な傾向を示したもので、昭和30年代以降の変化は含まない
図4・3・6 各住宅形式比較平面図