銭亀沢地区では、汐泊川流域に耕作地が作られ、農村住宅が点在していた。調査の結果、この地域の農村住宅は、旧亀田村に分布する亀田型農村住宅の形態を持つもの(c)と、七飯町に分布する農村住宅の形態を持つもの(`c)とが存在することがわかった。前者は、三列裏表に分割される間取で、チャノマを特に大きく取らない、自営漁家住宅とほぼ同一の平面形式である。後者は、下手裏側のイマを大きく取り、日常の居室として使用するという点で、七飯町の事例と共通する。聞き取りから、このような住宅形式の違いは、農村内部の社会的立場の違いや生活様式を反映させたものではないと考えられ、むしろ建築の時期や大工によるものではないだろうか。