十二月二十五日頃から始められるが、二十七日・二十八日頃にすす払いをする家が多い。柄の長いほうきでまず、すすやほこりをとり払い、仏間や客間から掃き始める。寝室・茶の間・台所と奥の部屋から玄関に向かって念入りにごみを掃き出す。
家族総出でおこない、神棚はその家の主人(男性)が、仏壇は主婦(女性)が掃除をする。石崎町では掃き出されたごみは、ちり取りにとりハキダメ(土を掘って、六尺四方を板で囲ったゴミタメ)に腐るごみを入れた。腐らないごみは、以前は海へ流したこともあったが、最近は環境保護の面からも海への投棄を自粛している。
家中のすす払いが終ると、十二月になって神社から配られた天照皇大神宮と氏神神社の神符二枚を、前の古い神符と取り替える。お神酒を供え、仏壇には水・花を供え灯明をともし、お参りする。
昭和六十年頃までは、すす払いの時期になると、掃除用具を毎年新しく取り替えて使用していた。その頃になると青森から行商人が掃除用具を売りにきていた。
昭和三十年代から家庭電化製品が普及し始め、どの家でも電気掃除機を使用するようになった。電化が進んで大がかりなすす払いはなくなったが、年末のすす払いだけは、日常の掃除よりも心をこめて丁寧にして正月を迎える準備をする。