[民謡]

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 中浜清一は、この地域の民謡について次のように語った。
 「私の知っている銭亀沢地域の歌い手には、江差追分大会の始まる前に活躍した中浜吉次郎、吉沢北斗、道南口説を歌った高井長次郎、森義弘、中浜清一、加藤綱蔵、七崎藤太郎などでした。民謡を歌っていた場所は会館や宴会のほか、盆の一五、一六日や村祭りの宵宮につきものの民謡大会でした。その時は地元の人が太鼓をハダイデ(叩いて)八木節、花笠音頭、ナット節などを踊りました。この地の歌は本州ものが多く、ここで生まれた歌としては沖揚げ音頭、ソーラン節、道南口説、道南ナット節、女工節があります。この道南ナット節は女工節を元歌としているという説もあります。ナット節には旧と新がありました。道南口説は道南ジョンガラ節を元歌としています。ですからジョンガラと口説の違いは節(ふし)の違いで区別されると思います。過去に亀尾町の故木村益雄が道成寺の物語や化け猫の物語を口説節で歌っていました。その歌い方は故内沢カトの道南口説節と旋律などが似ていました。また門付けが本州から恵比寿様の格好をしてきて歌っていました。私が故吉沢北斗から江差追分を習った頃は、七節八声の歌い方ではなかった。吉沢節と呼ばれた江差追分を故吉沢北斗が歌っていたように、私もほかの歌い手の歌い方を参考にして中浜節と呼ばれた江差追分を歌っていました」。
 石田キヨエによると「チャンコ茶屋の婆(嬶)や恵山小唄などが歌われていた。チャンコ茶屋の嬶は盆踊りにも使われていた」という。以上のことから銭亀沢地域の民謡伝承の一面がうかがわれる。