青森県と北海道との津軽海峡沿岸地域は歴史的・経済的にも生業・技術の面においても深いつながりがあるが、儀礼伝承からみてみると、北海道南部は、徐々に往来、移住を繰り返してきたことから、津軽海峡を挟んで共通の民俗文化圏を形成しているが、北海道南部を一つの文化圏域として考えると、青森県の津軽地域や南部地域、下北地域などの各地域の民俗事象の混合が見受けられる。
その事例としては、下北地方の五月節供のベゴ餅、津軽神楽と下北の能舞が混合したような松前神楽、七夕の灯籠・ローソクもらいとねぶた、祭礼における山車(だし)の運行などがあげられる。
北海道内陸部の民俗が本州からの集団移住によって成立した集落で、本州の母村の民俗の影響を強く受けていることに対して、北海道南部における民俗は、青森県の民俗の影響を受けながらも、長期間にわたって各地の民俗事象が混合されて成立したものと考えられる。