年平均気温

66 ~ 66 / 1483ページ
 最近30年間(1961〜1990年)の年平均気温の平年値を地点別に比較すると恵山岬8.9℃、函館8.5℃、南茅部8.0℃(12年間の準平年値)で恵山岬が一番暖かい。次に、1960年以前の30年または20年の平年値についてみると、恵山岬8.7℃、函館8.1℃(20年間)でやはり恵山岬の年平均気温が相対的に高値を示す。なお、両観測地点とも、最近の60年間(1931〜1990年)で年平均気温が少しずつ上昇する。いわゆる温暖化の傾向が認められる(図2.6参照)。
 函館における過去100年間(1872〜1972年)の気温変動については、『函館市史』通説編第1巻(1980年)で大野義輝が詳しく解説している。大野によると、函館の年平均気温は上記100年間の総平均値8.5℃、標準偏差±0.7℃である。図2.6で函館の折れ線グラフをみると、比較的温暖な年と寒冷な年との差が明瞭に表れており、気温の高い年・低い年がある期間続いて現れる傾向がある。大野はこれを4期に区分し、第1期を1872年(明治5)〜1877年(明治10)までの5年間、第2期を1878年(明治11)〜1913年(大正2)までの36年間、第3期を1914年(大正3)〜1940年(昭和15)までの27年間、第4期を1941年(昭和16)〜1972年(昭和47)までの32年間に分けて、年平均気温の変動を考察している。
 この4期区分は、函館における気候測量所(函館区船場(ふなば)町)、同新庁舎(1879年、明治12、高砂(たかさご)町)、函館一等測候所仮移転(1913年、大正2、海岸町)、新庁舎竣工(1940年、昭和15、亀田郡亀田村181、現函館海洋気象台、函館市美原3丁目4番4号)の各観測所の地点移動とほぼ対応しているが、気温観測の絶対値にほぼ変わりはないだろう。また、現在気温を観測している海洋気象台の同一地点の観測記録であっても、長期間に都市化などによりかなり周囲の温度環境の変化を受けたであろう。
 大野による前記4期区分以降(1973年、昭和48以降)を、仮に5期とすると、この期間(最近20年+)は明らかに高温期間といえる。

図2.6 函館と恵山岬における年平均気温の長期的変化

恵山岬は、恵山岬灯台気象観測資料(1926~1992年)、函館の1872~1972年は、大野義輝原図(1980)および1973年以降は札幌管区気象台(1991)による。南茅部は、札幌管区気象台(1992)アメダス統計資料より抜粋した。