1年間にわたって、親潮と津軽暖流の挙動が次のように示されている。
① 親潮が秋から冬季にかけて水温が低下していっている変化がとらえられている、と同時に納沙布岬から徐々に勢力を強めながら西進し、渡島半島南東部に到達している様子がうかがえる。
② 対馬暖流は本州西岸を北上し、津軽海峡西口からはそのほとんどが海峡を経由して太平洋側に流出している。北海道西岸を北上しているとみられるのは画像97年7月13日である。この画像は留萌沖にまで到達している。97年の秋季には津軽海峡東口から流出した暖流が八戸沖から日高沖まで広がっている。
③ また画像96年11月8日では襟裳岬沖から南東方向に黒潮系水と親潮系水との間に温度フロントが形成されている。
④ 画像97年3月5日では暖水塊が三陸沖に留まっている様子がうかがえる。この暖水塊は、4年前の93年2月に黒潮の一部がちぎれて誕生した暖水渦で93Aと呼ばれている。またこの画像においてオホーツク海から花咲、釧路にかけての黒色には流氷と考えられる箇所はないのか、と画像の提供者に尋ねたら、「流氷も雲も同じように分類されてしまいます。」との回答であった。
⑤ 8月、9月、10月の画像にあるように、津軽海峡東には夏から秋にかけて例年渦が形成される。そして冬から春にかけては沿岸に沿って津軽暖流水が南下する。これらを渦モード、沿岸モードと呼んでいる。