(2) 海藻成長でウニ・アワビ増加

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 こうした海流の動向から、①冬季の低水温が海藻の生育を良くし、ウニ、アワビの身入りを高め、漁獲増につながった、②道北の日本海側のマガレイ漁の終漁期が遅れ(伸び)、産卵も遅れた、③イカナゴ(コウナゴ)は全道的に不漁で漁期もずれた、といった漁況が推察される、という。
 実際ウニやアワビは、各支庁の漁獲速報値などでは増加傾向が見られる。後志支庁の管内だと、ウニは96(平成8)年の111トンに対して97年は114トン(12月の見込漁獲量含む)、アワビは、同様に15トンから21トン(同)に増えた。
 利尻、礼文両島など良好な漁場がある宗谷支庁の管内では、ウニは、96年の232トンに対し97年は236トンと微増。また桧山支庁によると、奥尻島では地震以後禁漁だったアワビが昨年7月に解禁されたため、漁獲総量が96年の9トンから17トンに増えた。ウニは79トンから69トンに減ったものの、「身の入りは良かったと聞いている」という。
 資源保護の面から漁獲量の制限を設けている漁協があるため、大幅な増加にはなっていないが、漁協の聞き取り調査を続けている同水試は、「昨年は、冷水性の魚介類には適した海水温で、コンブなどウニやアワビのエサとなる海藻の育ちが良く、各漁協の話でも身の入りは良かった」と話している。
〈文献1〉 ウニ・アワビ身がどっしり、朝日新聞、平成10年3月12日