昆布の育成地と海流との関係を知るために、大石・松島らは函館沖の海洋観測を1984年5月に行った。その資料を図5−1に示したが、図中の下図は津軽海峡中央部における表面水温の等温線である。また上図は観測点No.5,12、18での水温(横軸)と水深(縦軸)との関係図である。津軽海峡中央部の観測点No.5では表面から水深100メートルまで8℃前後であるが、汐首岬付近の観測点No.12、及び函館付近のNo.18では表面水温が3℃前後であり、また水深が30メートルの汐首岬付近においては1.5℃という低温であった。このことから明らかに沿岸親潮水が北海道寄りに厚く流入していることが認められた。
しかしこのように冷水が函館沖まで流入していることがわかったのは、1943年4月に初めて函館海洋気象台が青函連絡船に便乗して採水・測温した結果に1例が示されていたことによるものである。ところがその後1947年から1957年にわたって同様に航路上で得た観測資料には記録されていない、とのことである。
図5-1