(1)ナウマン象

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 昭和45年に十勝管内忠類村で発掘されたほぼ1頭分のナウマン象化石は(第2図)、北海道にもナウマン象が生息していたことを示す貴重な発見であった。火山灰や地質調査の結果から、ナウマン象が生息していた時代は約12万年前頃であったことがわかっている。象化石とともに産出したブナやエゴノキなどの植物化石や昆虫化石からは、その頃は現在の渡島半島から東北地方北部の植生・気候環境にあったと推定されている。ナウマン象化石の発掘地点から、人間によって加工が加えられた疑いがある3点の角礫も発見されている(第3図)。しかし、ナウマン象はぬかるみにはまって身動きできなくなって死亡したこと、解体された痕跡もみられないことなどから、石器の可能性がある角礫とナウマン象化石との間には直接的な関係はなさそうである。
 このほかに、栗山町や雨竜町でもナウマン象の臼歯化石が発見されているが、産出地点や地層が不明なことから生息年代等の詳細については不明である。
 ナウマン象は約30万年前から15万年前まで続いた寒冷期に、陸続きとなっていた大陸から日本列島に渡来し、北上してやはり陸続きとなっていた津軽海峡を通って北海道に渡り、北海道には約12万年前頃まで生息し、本州には約3万年前まで生息していた。

第2図 忠類ナウマン象化石復元骨格図
『忠類ナウマン象』北海道開拓記念館資料解説シリーズNo.1、1792


第3図 忠類ナウマン象化石産出地点か出土した加工の疑いがある角礫
『忠類ナウマン象』北海道開拓記念館資料解説シリーズNo.1、1792