目次
/
第1章 北海道の先史時代
/
第1節 氷河時代と旧石器時代
/
2、北海道で発見されている旧石器文化
(4)有舌尖頭器
277 ~ 277 / 1483ページ
旧石器文化の最後の段階は有舌尖頭器とよばれる長さ6~7センチメートルほどで、柄をつけるための茎(舌)部をもった石器を特徴とする文化である(第7図)。このほかに片刃石斧、彫刻器などをともなうが、いまのところ確実な土器の伴出例は知られていない。蘭越町
立川遺跡
(第7図)から最初に発見されたことから立川文化ともよばれている。弓矢の発生に大きなかかわりをもち、縄文文化への橋渡しの役割を担った文化でもある。
恵山町内では旧石器文化の遺物は発見されていないが、噴火湾岸の南
茅部
町の台地上から尖頭器を加工した彫器が出土していることから、今後、町内の台地上からも当時の石器が発見される可能性は残っている。また、当時は海水面が今よりも80メートル前後低かったことから、津軽海峡の海底に遺跡が残されているかも知れない。
第7図 有舌尖頭器(蘭越町
立川遺跡
)
吉崎昌一『立川』市立函館博物館、1960