(4)有舌尖頭器

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 旧石器文化の最後の段階は有舌尖頭器とよばれる長さ6~7センチメートルほどで、柄をつけるための茎(舌)部をもった石器を特徴とする文化である(第7図)。このほかに片刃石斧、彫刻器などをともなうが、いまのところ確実な土器の伴出例は知られていない。蘭越町立川遺跡(第7図)から最初に発見されたことから立川文化ともよばれている。弓矢の発生に大きなかかわりをもち、縄文文化への橋渡しの役割を担った文化でもある。
 恵山町内では旧石器文化の遺物は発見されていないが、噴火湾岸の南茅部町の台地上から尖頭器を加工した彫器が出土していることから、今後、町内の台地上からも当時の石器が発見される可能性は残っている。また、当時は海水面が今よりも80メートル前後低かったことから、津軽海峡の海底に遺跡が残されているかも知れない。

第7図 有舌尖頭器(蘭越町立川遺跡
吉崎昌一『立川』市立函館博物館、1960