[縄文時代早期]

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 縄文文化の最も大きな特徴は土器が使用されたことにあるが、土器を使用したことによっておきた生活の変化がより重要なことであった。弓矢と磨製石斧の本格的な使用もこの時から始まる。弓矢は動く獲物を捕え易くし、磨製石斧は打製石斧よりも鋭い刃がつけられることから、樹木を伐り倒したり加工することが容易となり、船や家屋の製作も容易になった。これら新しい道具の出現は、人々の活動の範囲を拡げ、新しい考えを生み、さらに新しい道具や植物の水晒(みずさら)しや加熱処理技術を開発するもととなった。
 江別市大麻1遺跡から撚紐(よりひも)の圧痕が施文された鉢型土器の破片が発見され、調査者は貝殻文系土器よりも古い草創期のものとしている。しかし、その実態が不明であるため、いまのところ北海道の縄文文化は約8千年前の縄文時代早期から始まる。

第8図 早期の土器(1~4、ノダップⅠ式、5~10、中野A式、11~16、住吉町式、17、沼尻・東釧路Ⅱ式、18、虎杖浜式、19、大澗式、20~21、浦幌式、22~24、東釧路Ⅲ式、25~28、コッタロ式、29、中茶路式)
宮塚義人「縄文文化黎明期の北海道」『北海道の研究1』清水堂、1984