(4)北筒式土器

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 北筒式土器は北海道円筒式土器の略で、中期後半に主として道東や道北に分布した、若干の繊維を含んだ円筒形の土器である。口縁は山形突起をもった波状もしくは平縁で、口縁部に肥厚帯がつくられ、その直下に円形の刺突文が数センチメートル間隔でめぐる特徴を持った土器で(第22図)、その南限は日本海側では岩内町、噴火湾岸では登別市である。
 石銛(もり)といわれている小型・大型の尖頭器が多くみられ、磨石、石皿がほとんどみられない。磨石や石皿といった植物加工用石器がほとんどなく尖頭器が多出すること、貝塚から海獣骨が多出することなどから、陸獣や海獣狩猟民的な性格であったと考えられている。遺跡も海岸地帯だけではなく山岳地に近いところまで分布し、円筒式土器文化が植物質食糧資源を最大限に利用し、狩猟・漁労も盛んに行っていたのに対し、狩猟や海獣狩猟を主体とした狩猟民族の文化と考えられている。

第22図 北筒式土器(トコロ6類)
大沼忠春「北筒式土器」『日本土器事典』雄山閣、1996