投票率を見ると両選挙とも村会議員投票率を下回る。これは当然と思われる。ただ道会は衆議院より身近な筈であるのに投票率は低い。推察するに、当時東京以北最大の都市である函館は新聞社も数社数え、当時の紙面には中央政界の情報が頻繁には入ってきている。郷土も中央の実業界・鉱山関係者などの出入りから、道政よりもむしろ中央政界への関心が高かったのではないか。なお、回を追うごとに投票率は上がってきてはいる。
道会について見ると、大正2年6月「北海道会議員選挙法」が改正「議員定数が7名増加になり42名」、同5年3月「議員任期が4年」となり、6期選挙より施行された。定員は7期選挙より52名、8期選挙より55名となった。また、大正11年4月には「北海道参事会」が設置されることになり議会の権限が、ようやく府県会並に強化拡大されたことなども、投票率向上の1つの要因ではなかろうか。
大正期の道会議員選挙(5・6・7期)
大正期の衆議院議員選挙(5・6・7・8期)
 
1期M34函 | 2期M37函 | 3期M40函 | 4期M43函 |
池田 醇 | 小橋栄太郎 | 能戸清五郎 | 能戸清五郎 |
村山 儀七 | 中村長八郎 | 松代孫兵衛 | 杉立 正義 |
吉田清太郎 | 田村力三郎 | 吉田 定助 | |
5期T2函 | 6期T5函 | 7期T9函 | 8期T13渡 |
葛西 耕芳 | 中宮 亀吉 | 大田半三郎 | 大田半三郎 |
上野 盛松 | 池田 醇 | 中宮 亀吉 | 鍵谷萬次郎 |
池田 醇 | 池田 醇 | 川内 精作 |
3期M37函 | 4期M41函 | 5期M45函 | 6期T4函 |
松井 源内 | 横田 虎彦 | 内山 吉太 | 佐藤栄右衛門 |
7期T6函 | 8期T9渡 | 9期T13渡 | *1期・2期 |
吉田三郎右衞 | 黒住 成章 | 黒住 成章 | 函館支庁の議席なし |
衆議院議員・道会議員の選挙権(有権者)
道会議員・衆議院議員の有権者数が異なるのは、それぞれの選挙法で選挙資格が定められていたからである。
<衆議院議員の選挙権>
・満25歳以上の男子で1年以上その府県・道内に本籍を定め居住し、直接国税10円以上(明治22年の選挙法では15円以上)納めている者(明治23年3月公布の改正法)
<道会議員の選挙権>
・満25歳以上の男子で道内3年以上の住所を有し、3年以来、直接国税3円以上納めるか、3年以上、土地(耕地、宅地、海産干場など)4町歩以上を所有する者(明治34年3月28日法律第2号「北海道会法」)