[執務方法の刷新]

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 昭和11年に編纂された『上磯・亀田各村沿革史』が現存する。これは第1部から第4部、各部1類から5類まで、内容ごとに分類されて記述されている。
 郷土尻岸内村については、第1部1類「尻岸内村の情勢」、第3部1類「執行方法の刷新に関するもの」、第4部2類「民風作興に関するもの」(日浦青年団の概況)についての記載がある。推察するに、この沿革史は道庁・支庁が、各町村の特色ある村政について交流をし、それぞれの村の故郷(ふるさと)づくりに一層の創意工夫を促したものと思われる。
 郷土については、掲載された中から、役場庁舎の図面・吏員の配置図・事務分掌・文書庫の取扱図等を示し、行政執行の能率化を図る方策、第3部1類の「執行方法の刷新に関するもの」について、全内容を記載することとする。
 
第三部
第一類 執務方法の刷新に関するもの
 一 役場位置及び構造、役場吏員の配列、人民の出入受付、宿直室・金庫・会議室等の位置構造等に関し現に実施せるもの。
   <別紙、図面の通り>
 
 二 文書函・文書庫等の施設又は考案
 (一)文書函
  別紙、見取図の如く未決文書を特急普通に区分し、夫々一函に収納し処理に当たり支障なからしめ、尚、文書の散乱紛失を防ぎ、且つ文書の汚損等なからしむ様保管に便すること。
 (二)文書庫
  (イ)可成不燃質物建造物にし、且つ通風防湿の設備に注意すること。
  (ロ)可成周囲に固定の書棚、中央に移動式書棚を設け、各係毎の年度別分類により格納し、必要の場合直に閲覧し得る如く為すこと。
  (ハ)不要文書の整理を随時為し、書庫の整理整頓に留意すること。
 
 三 事務分掌上の施設法案
  常時負担の権衡、適材適所、連絡統制等に関し、深甚なる考慮を為し、其の妥当適正を期し事務の刷新改善を図り、以て円滑なる自治の発達進展に一意邁進せんとす。
 事務分掌の現況左の如し
 係 名   担当吏員数       摘    要
出納会計  収入役一名       産業組合・衛生組合・赤十字・愛国婦人会事務兼務
庶務土木係 書記一名 書記補一名
税務財務係 書記一名 書記補二名
勧業統計係 書記一名        製炭組合・畜産団体等事務兼掌
兵事戸籍係 書記一名        在郷軍人会事務兼掌
教育衛生係 書記補一名       社寺社会係兼務
 
 四 服務規律の向上に関する施設又は方案
 現下に於ける内外の情勢に鑑み、一層官綱紀の粛正振作に努め之が更張に関しては、特に左記事項の躬行を強調し、公務員として萬遺憾なきを期せんとす。
 (一)吏員の任用に際しては、其の人格・手腕・性能其の他に付き、慎重公正なる考査を為すこと。
 (二)法令に従い、其の職務に忠実勤勉、殊に身分に対する服務規定を知悉玩し、常に之が格遵励行を期すること。
 (三)道徳を修め質素を旨とし名誉を尚問い、特に職務の内外を不問、廉恥を重んじ賎劣貧汚の所為さざること。
 (四)常に心境を明朗にし高遠なる希望を持し、一意自己の修養に志し研究は常に怠らざること。
 (五)奉職する町村に対しては、愛郷観念を一層明澄にし公私共に町村民の儀長となることに努むること。
 
 五 能率増進上の施設方案
 庁舎の位置構造吏員の配列、人民の出入り、事務分掌其の他に付き、多大の考慮を払うべきは勿論なるも、特に左記事項に就き将来最善の努力を致さんとす。
 (一)心身の健全に留意することを第一要義とす(将来適当なる方法に依り体育の奨励を為さんとす)。
 (二)常に心情を明朗にし、分掌事務の系統順序を正し、須く即決主義を以て事務の遂行に衡ること。
 (三)場内に研究機関を設け事務の連絡を図ると共に、常に調査研究を怠らず之が啓発と円満迅速なる事務の遂行を企図すること。
 (四)場内外の浄化整頓に注意し事務室の神聖を持し、殊に机上の整頓文書函の整頓に就ては一段の努力工夫を為し、常に明るく正しき情操を保ち綿密周到にして且つ迅速なる事務の処理に励むこと。
 (六)年度当初は勿論、毎月毎週の初に於いて事務及び諸行事の緩急順序、並に連絡其の他を考察し、各係に於て予定表を作成すること。
  付記  亀田郡尻岸内村役場之図 ①正面図 ②面図
      尻岸内村役場事務室   ①吏員配置見取り図
                  ②文書箱・側箱