ここでは1946年(昭和21年)から1950年(昭和25年)の5カ年間について、GHQの指令、政府の改革、社会・経済・労働運動など国内の動向に主な事項を列挙する。
この時期は、敗戦、そして連合国軍の占領、就中GHQの厳しい監視と指令の下、1946年(昭和21年)日本国憲法が公布・翌1947年(昭和22年)施行され、敗戦の混乱と荒廃からようやく生まれ変わったわが国が、復興に向けて活発に動きだした時期である。
特に、政党の結成と政治活動の活発化、労働運動・大衆運動と権利闘争の拡大、これに対応した政府の改革、省庁の設置、とりわけ食糧政策・農地法の推進とインフレ対策などが目立つ。また経済活動の復興と経済界の再編が積極的に行われた様が窺える。GHQ・これを受けた当局の動きでは共産主義に対しての警戒感、さらに弾圧・過剰な労働運動についての牽制・禁止、また戦争責任についての追求・公職追放などが目につく。
〈1946年(昭和21年)〉
・ 1月 1日 天皇の人間宣言(天皇自ら神格化を否定する)
・ 1月 4日 GHQ、公職追放について指令する。
・ 1月17日 労働組合総同盟結成される。
・ 2月 9日 日本農民組合結成される。
・ 2月17日 政府、金融緊急措置令を発し25日新円に切換える。
・ 〃 〃 政府、食料緊急措置令・隠匿物資等緊急措置令を公布施行する。
・ 2月18日 進歩党幹部追放により総退陣する。
・ 3月 3日 政府、物価統制令を公布する。
・ 3月17日 婦人民生クラブ結成される。
・ 5月 1日 第17回(復活第1回)メーデー開催される。
・ 5月 3日 GHQ、極東国際軍事裁判開廷する。
・ 5月15日 GHQ、対日理事会アチソン議長共産主義反対を声明する。
・ 5月19日 東京食料メーデー・プラカード事件発生する。
・ 6月13日 政府、社会秩序維持・食糧危機突破・生産管理否認の声明を発表する。
・ 7月 6日 日本国と呼称(国名)を決定する。
・ 8月12日 政府、経済安定本部・物価庁を発足する。
・ 8月13日 経済団体連合会(経団連)発足する。
・ 8月19日 全日本産業別労働組合会議結成される。
・ 9月 9日 政府、生活保護法を制定する。
・ 9月21日 GHQの指令で第2次農地改革諸法令を公布する。
・ 9月27日 協同党結成される。
・10月 1日 国鉄・海員組合・全炭労など産別中心の吉田内閣打倒10月攻勢を開始する。
・10月18日 政府・戦時補償特別措置法・企業及び金融機関再建整備法を公布する。
・10月20日 日本商工会議所設立される。
・10月24日 全日本労働組合統一協議議会結成・25日日本労働組合会議結成される。
・11月 3日 日本国憲法を公布する。
・12月17日 生活権確保反動内閣打倒国民大会開催される・野党3派共同戦線成立する。
・12月 この月インフレ悪化日銀券発行高934億円となる。
〈1947年(昭和22年)〉
・ 1月 7日 緑風会結成される。
・ 1月13日 全国労働組合共同闘争委員会「2.1」ゼネストを準備する。
・ 1月28日 吉田内閣打倒危機突破国民大会開催される。
・ 1月28日 GHQ、「2.1」ゼネスト禁止を命じる。
・ 2月 6日 政府・経済復興会議設置する。
・ 2月25日 日本農民党結成される。
・ 2月28日 GHQ、4月選挙に公職追放者活動禁止を声明する。
・ 3月 8日 国民協同党結党される。
・ 3月10日 全国労働組合連絡協議会結成される。
・ 3月25日 進歩党解散する・31日民主党結成される。
・ 3月 この月都道府県農地委員会選挙を実施する・第1回農地買収を実施する。
・ 4月 5日 第1回知事・市町村長選挙を実施する。
・ 4月 7日 政府、労働基準法・14日独占禁止法・17日地方自治法を公布する。
・ 4月20日 第1回参議院議員選挙を実施・25日第23回衆議院議員総選挙を実施する。
・ 4月30日 戦後初の地方議会選挙を実施する・日本鉄鋼連合会発足する。
・ 5月 3日 日本国憲法を施行する。
・ 5月15日 社会党左派共産党と絶縁声明を発表する。
・ 5月20日 吉田内閣総辞職・6月1日片山哲(日本社会党)内閣成立する。
・ 6月 8日 日本教職員組合(日教組)結成される。
・ 7月 1日 政府、公正取引委員会を設立・4日政府・経済白書を発表する。
・ 7月25日 全国農民組合結成される。
・ 8月15日 GHQ、民間貿易再開を許可する。
・ 9月 1日 政府労働省、特別調達庁を設置する。
・10月10日 GHQ・キーナン検事、天皇と実業界に戦争責任なしと言明する。
・10月21日 政府、国家公務員法を公布する。
・11月 7日 GHQ、公職追放1,358名を発表する。
・11月19日 政府、農業協同組合法を公布する。
・11月23日 自由人権協会結成される。
・11月28日 GHQ、翼賛会その他(戦争協力者)83,000名を追放する。
・12月 1日 政府、失業手当法・失業保険法を公布する。
・12月 8日 政府、炭鉱国家管理法案成立・31日内務省を廃止する。
〈1948年(昭和23年)〉
・ 1月 7日 政府、財閥支配力排除法を公布施行する。
・ 2月10日 片山内閣総辞職する。
・ 3月10日 芦田均(民主党)内閣成立する。
・ 2月15日 政府、法務庁設置する・20日食糧公団設立される。
・ 3月 7日 新警察制度発足する。
・ 3月15日 民主自由党が結党される。
・ 4月 4日 GHQ、祝祭日に日の丸掲揚を許可・29日全逓スト一切中止を命ずる。
・ 5月 1日 政府、海上保安庁を設置する・軽犯罪法を公布する。
・ 7月10日 政府、建設省を設置する・人権擁護委員会令を公布する。
・ 7月29日 政府、政治資金規正法を公布する。
・ 8月 6日 国労職場放棄、全逓さみだれ戦術で闘争を開始する。
・10月 7日 芦田内閣、昭和電工疑獄により総辞職・19日第2次吉田内閣成立する。
・11月12日 極東国際軍事裁判の判決下る。12月23日東条ら7戦犯死刑執行す。12月24日岸信介らA級戦犯容疑者釈放される。
・12月 2日 労働者農民党結党される。
・12月18日 米政府、日本経済安定9原則を指示する。
・12月20日 GHQ労働課長、年末争議中止の勧告・農民組織16原則を発表する。
・12月23日 衆議院、内閣不信任案を可決し解散する。
〈1949年(昭和24年)〉
・ 1月23日 第24回衆議院議員総選挙実施共産党進出・最高裁裁判官国民審査を施行する。
・ 2月16日 第3次吉田(吉田・犬飼保守連立)内閣成立する。
・ 2月25日 米国陸軍長官、日本防衛問題について言明する。
・ 4月 1日 GHQ、日銀に対日見返資金特別勘定設定を指令する。
・ 4月15日 米国ドッジ公使、均衡予算を強調する・24日為替レート設定1ドル360円となる。
・ 5月25日 政府、通商産業省を設置する。
・ 5月30日 政府、公務員定員法成立し26万人整理決定する。
・ 5月 この月、年齢の唱え方に満年齢を採用する。
・ 6月 1日 政府、郵政省・電気通信省・国税庁設置、日本国有鉄道・専売公社発足する。
・ 7月 1日 GHQ、軍政部を民政部に切り換える。
・ 7月 3日 全日本労働組合連盟結成される・東京都に公安条令施行する。
・ 8月25日 GHQ、石炭統制一切廃止の覚書発表する。
・ 9月17日 人事院、政府職員の政治活動制限に関する規則を施行する。
・ 9月26日 GHQ、見返資金を日本産業に所有し・シャゥプ税制改革勧告案発表する。
・11月30日 外国貿易管理法成立する。
・12月14日 株式大暴落し証券取引所空売り防止指令する。
〈1950年(昭和25年)〉
・ 1月 1日 マーサー元帥年頭の辞で日本の自衛権を強調する・民間輸出を実施する。
・ 1月10日 GHQ、沖縄基地恒久的建設開始・15日労働課長ゼネスト禁止を言明する。
・ 4月24日 ダレス顧問早期講和を提唱する。
・ 4月26日 野党外交対策協議会が平和・永世中立・全面講和を主張し共同声明を発する。
・ 5月 4日 政府、生産保護法を公布する。
・ 6月 6日 GHQ、共産党中央委員全員の追放を指令しのち追放者を拡大する。
・ 6月16日 国警本部デモ集会の全国的禁止の指令をする。
・ 7月11日 首相、朝鮮戦争で国連協力を言明する・日本労働組合総評議会を結成する。
・ 7月18日 GHQ、アカハタ無期限停止指令、のち共産党機関紙全面的に停刊指令する。
・ 7月28日 新聞・通信放送関係レッドパージ開始し、のち全産業に拡大する。
・ 8月10日 警察予備隊(自衛隊の前身)令を公布施行する。
・ 8月15日 閣議、特審局拡充の政令公布を決定する。
・ 8月19日 政府外務省、朝鮮動乱と我等の立場を発表する。
・ 9月 1日 政府経済安定本部、朝鮮動乱から8月28日までの特需144億円と発表する。
・ 9月14日 米大統領対日講和予備交渉開始を命じる。(1951年9月サンフランシスコ平和条約調印)
・10月13日 政府、1万余名の公職追放解除する。
・11月 5日 政府機関1千余名・民間約1万名、赤色追放する。