鉱床は、凝灰質集塊岩上に成層した『沈澱鉱床』で広く露頭を呈しており、採掘は最初、相当広い範囲にわたり効率のよい露天掘によって行われた。
後、鉱床の状況から併行して、坑道、新坑198メートル、大切坑342メートル、2坑234メートル、3坑558メートル、4坑630メートルを設け採掘をしてきた。これらの坑道は、高さ約5尺(1.5メートル)、幅6尺(1.8メートル)で、3尺(90センチメートル)ごとに、鳥居形の支柱を設置し、採鉱後は木積を組み土砂を充填し崩落を防いでいた。採掘は鶴嘴・鑿(のみ)によるが、鉱石以外の硬岩は発破(ハッパ)を仕掛け除去した。採鉱法は主に、長壁(ちょうへき)式(切羽の長さを長くして大量に採鉱する方法)を採用し、ところどころに礦柱式を併用していた。採掘した鉱石の運搬は坑外南側より、鉱床の走向に沿い水平の運搬坑道を4か所開坑し、12听(ポンド)のレールをも布設、鉱車(トロッコ)(容量420キログラム及び530キログラム)で坑外に運搬し、採鉱場より鉱車(トロッコ)までは、箱っこ畚に積込み人の背により運ばれた。
坑道内の排水・通気についてであるが、排水は、各主要坑道側に疎水溝を設け坑外に排水するようにしていた。ただ、4坑の卸部は傾斜の関係から、手動ポンプ2台を使用し(後10馬力石油発動機)疎水溝まで揚水し排水していた。通風については坑道の距離もさほどないので、自然通風とし、各坑道とも互いに連絡をとり安全を保つよう心掛けていた。また、坑道内の点灯は、油灯と、横田式アセチレン灯(カーバイトに水を化学反応させ発生するアセチレンガスを燃焼させる、非常に明るい炎を出す照明具)を用いていた。