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戸井町議会議長(町史編纂委員長)吉崎 仁三郎

序  戸井町議会議長(町史編纂委員長)吉崎 仁三郎
 わが郷土の生いたちを尋ね、先人苦闘の跡を偲び、その偉業を次代に語り伝え、将来の町勢進展に資するためにも、早い機会にこれらを活字に留め置きたいと思っていた矢先に、町教育委員会において郷土誌の編集について検討していることを知り、わが意を得たものとして、これが早期に実現することを期待しておりました。
 この頃は、町の開基百年の記念事業並びに町制施行準備の直前だっただけに、町史の編纂事業は、一入(ひとしお)意義深いものを感ずるものです。
 本町草創の年代は詳(つまび)らかでありませんが、数百年前に既に岡部某が現役場所在地に、館を築いていたと言い伝えられていましたが、板碑(いたび)の発見(昭和四十三年)により、これが史実として裏付けされました。
 その後和人の定住が跡絶えた年代があったとしても、徳川幕府の時代に至り、この地にささやかな村落が誕生、今日の戸井町として、発展の過程を経て来たことは、各種の文献、資料にも明らかにされております。
 今回刊行されたこの町史は、本町が数百年にわたって辿(たど)って来た道程を具(つぶ)さに記述し、これを広く紹介しようとするものですが、この労作は偏(ひとえ)に編集を担当された野呂進氏の献身的な御努力と関係各位の御協力によるものであり、深く敬意を表するものであります。
 本史によって、郷土の歴史が正しく理解され、更に進んで新しい町づくりの指針に資するものであって欲しいと念願してやみません。
 いまここに、上梓(じょうし)の運びに至った経過を省(かえり)み、直接編集に携(たずさ)わられた編纂委員会の各位、並びに資料提供に御協力を賜った多くの方々に、深甚なる感謝の意を表し序文といたします。(昭和四十八年二月)