北海道知事 堂垣内尚弘
序 戸井町の輝かしい前途を祝して 北海道知事 堂垣内尚弘
明治二年、戸長役場が設置されて以来一〇三年の輝かしい歴史を有する戸井町は、本道の開拓と文化発祥の地として、幾多の変遷(へんせん)を経ながら今日の隆盛をみるにいたったのであります。
戸井町は、総人口の七〇%が漁業に従事する純漁村として「魅力(みりょく)ある環境とゆとりのある漁業経営」を目指し、沿岸漁業構造改善事業に着手し、漁家の経営改善のための漁船の大型化をはじめとし、装備(そうび)の近代化、漁場改善事業の推進、漁港の修築整備の促進(そくしん)等、若い後継者の定着のための施策が進められ、今やその成果が着々とみのりつつあることは誠に御同慶にたえません。
戸井町が、このように幾多の苦難を克服(こくふく)し、今日の発展をみるに至ったことは、厳(きび)しい風雪と闘(たたか)い、辛苦を重ねられた先人の努力と開拓者精神のたまものであり、私たちは、このことを永久に忘れてはならないと思うのであります。
このたび戸井町が開基百年を記念して、その歴史を明らかにするとともに、郷土建設に貢献(こうけん)した先人の偉業を永く後世に伝えるため、町史を編さんされましたことは、誠に意義深く時宜(じぎ)を得たものであり、この町史がさらに町勢進展のための道標(どうひょう)となることを願ってやみません。
また次代を担う若人が、先人の残した偉業を偲ばれ、その貴重な体験を学び、さらに深い郷土愛の精神をもって、明日の戸井町建設に邁進(まいしん)されますよう期待するとともに、戸井町の輝かしい前途を祝して序文といたします。
昭和四十七年十一月