昭和二十四年・インフレからの再出発

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・一月二十六日、法隆寺金堂壁画焼失。
・四月十五日、占領軍総司令部経済顧問ジョセフ・ドッジが均衡予算の実施と補給金の廃止を強調する。この政策は昭和二十四年から二十六年にかけて実施され、その内容は、大幅な税制改革(シャウプ勧告)を行い、価格差補給金を廃止し、アメリカの経済援助を削減しようとするものであった。
 
     ドッジ氏の談話(要約)昭和二十四年三月八日朝日新聞
   米国は日本救済と復興のため昭和二十三年度までに十二億五千万ドルを支出した。米国が要求し同時に日本が必要とすることは、対日援助を終らせることと日本の自立のためへの国内建設的な行動である。私の信ずるところでは日本は目下厳しい経済を余儀なくされている。しかし現在とられている国内的な方針政策は、合理的でもなく現実的でもない。すなわち日本の経済は両足を地につけていず、竹馬にのつているようなものだ。竹馬の片足は米国の援助、他方は国内的な補助金の機構である。竹馬の足をあまり高くしすぎると転んで首を折る危険がある。今ただちにそれをちぢめることが必要だ。つづけて外国の援助を仰ぎ、補助金を増大し、物価を引き上げることはインフレの激化を来すのみならず、国家を自滅に導く恐れが十分にある。
 
・四月二十三日、GHQ、一ドル三百六十円の単一為替ルート設定を指令し二十五日より実施する。
 
   GHQの日本円の公式為替レート設定方に関する覚書(昭和二十四年四月二十三日)
  一、日本政府は昭和二十四年四月二十五日午前零時より一米弗に対し日本円三百六十円の公式外国為替レートを実施するに必要な措置をとるようここに指令する。米国以外の国の通貨に対するレートは、本レートを基準として国際通貨基金に登録されてある当該国通貨の対米弗比率をもつて換算してこれを定めるものとする。
 
・六月一日 郵政省・電気通信省・国税庁・国鉄公社・専売公社など発足する。
・九月十五日 シャウプ税制改革勧告全文発表される。
 
     シャウプ税制勧告(要約)
  第二章 国家財政と地方財政との関係
   われわれの改革案は二つの事実から出発している。第一は、地方自治といゆことは、占領軍および日本政府の窮極目的の一つとして宣言されている事実である。第二に、現在のところ、地方自治はきわめて未熟な段階であり、地方団体の財政力を強化し、これとともに、富裕地方と貧困地方間の財政力を更に均等化することなくしては、地方自治の完成を望むことはきわめて困難である。という事実である。ここで「地方」とは都道府県および市町村を指す。
 
 この年、流行歌では「青い山脈」・「ボタンとリボン」・「トンコ節」・「長崎の鐘」・「銀座カンカン娘」などが流行し、映画では「青い山脈」・「痴人の愛」・「晩春」・「女の一生」などが上映される。また出版では、戦没学生手記「きけわだつみの声」、永井隆の「この子を残して」などが世に出される。

フジヤマの飛魚 昭和24年8月18日 函館新聞