すなわち部落で集会を開いて候補者について協議したり、親類関係から二名の立候補者が出た場合などは、本家の兄は誰々、別家の弟は誰々均等に票を分けたり、立候補者が各家を廻わって委任状を集めるなど、開票前にほぼ当選者が決まるような情景も見られたといわれている。
大正八年五月二十五日付の「函館日日新聞」は選挙の形勢について次のように報じている。
選挙の形勢
▽ 管内進級町村の五月三十一日及び六月一日に掛けて一、二級村会議員の選挙を行ふべき、函館支庁管内進級町村、亀田・木古内・椴法華・戸井村の村会議員選挙の形勢は一般に静穏にて一部の野心家の暗中飛躍を試みつつあるも各村長・元老・有志の調停により、何れも前村会議員を當選せしむるよう協定成立したる由なれば何等の競争もなかるべく予想せられつつある。(以下省略)
その後昭和二年八月北海道一・二級町村制が改正され、納税資格撤廃による普通選挙法が実施された。この時から議員の任期は従来の二年から四年に改められ「級別」制度は廃止される。
椴法華村ではこのあと昭和四年五月一日に普通選挙法による第一回目の村会議員選挙が行われている。
選挙権の実態(昭和二年八月から普通選挙法実施のため有権者が急に増加する)
代 氏 名 | 就任年月 | 退任年月 |
一 吉 田 慶太郎 | 大正八年四月 | 大正九年九月 |
二 加 藤 佐 平 | 大正九年九月 | 大正十二年四月 |
三 松 原 寅次郎 | 大正十二年四月 | 昭和二年四月 |
四 武 石 胤 介 | 昭和二年四月 | 昭和五年十二月 |
五 菊 地 庫 太 | 昭和五年十二月 | 昭和十年 |
六 三 沢 保 | 昭和十年 | 昭和十一年 |
七 上 村 浩太郎 | 昭和十一年 | 昭和十四年九月 |
八 高 柳 良 雄 | 昭和十四年九月 | 昭和十五年七月 |
九 伊 藤 国 平 | 昭和十五年七月 | 昭和十八年五月 |
十 谷 内 久 吉 | 昭和十八年五月 | 昭和二十一年十一月 |