昭和十七年ごろの昆布漁業

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 戦争の激化にともない軍需物資はもとよりあらゆる物資が国の統制下におかれることになり水産物もまた公定価格を定められ、従来のような自由販売は認められなくなった。また漁具であるロープ、カッパ、発動機を動かすための油は完全配給制となり、一と昔前のもどったような手こぎの磯船や古網、古ロープを修理しながら出漁するような有様であった。
 更に昆布採取では長年の勘と強い体力を必要とするが、これらを有する漁師はまた良き兵士となるためぞくぞく出兵してしまい、残された老人や少年、女性によって時期に至れば昆布採取がなされるような状況となった。