昭和三十一年の烏賊の大凶漁

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 大島幸吉著『イカ漁業とその振興策』は、道水産部の調査報告に基づき、昭和三十一年道南を襲った烏賊の大凶漁について次のように記している。
 
   道南地方の三十一年度イカ漁獲量は平年の三十三%、価格において四十二%に過きず、亀田郡沿岸の小型船は最も不漁であった。從って平年以上の船主と釣子は六%、半漁以下の船主七十六%、釣子は十一%、三分以下の凶漁船主・釣子共三十七%に達して居る。生イカ及びスルメの価格は十月下旬凶漁予想確実となって暴騰し始め生イカ一貫百三十円、スルメ十貫九千五百円と平年の三倍になったが例年道南は豊漁で正月を迎える現金が必要で十月以後売り急ぐため最低価格となり且つ夏スルメは保存力が弱い故に生産者は早期に約三百五十円で売却したものが多く十一月以後の市価暴騰による利益は得られなかった。
   渡島管内イカ単作漁家一戸当り収入平年の十七万円に対し本年は五万円である。

恵山沖烏賊釣風景 昭和32年8月道新