(この頃椴法華村では、大部分が捨てられており、ごく一部に畑に肥料として使用している人達もあった。)戦後ライオン油脂はイカ油の製造ばかりでなく、SP飼料の原料としても使用し始め、需要が増加したため函館周辺の漁村よりタンク車で集荷するようになり、漁民もそれまでのように捨てずに、取り纒めて置くようになった。
昭和二十六年頃の烏賊利用
精製油→ペイント、石けん、印刷ワニス
硬化油→靴墨、石けん、クレオン、マーガリン
(右の表は「イカとその漁業並びに加工業」北海水産新聞社刊を参考に作成する)
◇スルメ
『農林規格いか製品』ではスルメについて次のように定義している。(要約)
第一条、「するめ」とはいかの胴部を切開き内臓及び眼球を除去して干燥したものをいい「一番みがきするめ」とは剣先いかを「二番みがきするめ」とはするめいかをそれぞれ原料としてその胴部を切開き内臓・眼球・耳及び胴部の皮を除去して干燥したものをいう。
但しおたふく形にしたもの及塩を使用して製造したものを除く。
第二条によれば、スルメを検査して合格したものを一等から五等に区分し、品質・形態・香味はそろい及び大きさ、きょう雑特等は五官検査により干燥度には次の水分含量を規定している。
九月一日から十月三十一日までに検査するものは水分二十%以下、十一月一日から三月三十一日までに検査するものは水分二十二%以下、その他の期日において検査するものにあっては水分十八%以下のもの。
・漁獲時期によるスルメの分類
夏(採)するめ、四月一日から八月末日までに漁獲されたイカを原料としたもの。
秋(採)するめ、九月一日から十月末日までに漁獲されたイカを原料としたもの。
後(採)するめ、十一月一日から翌年三月末までに漁獲されたイカを原料としたもの。
◇塩辛
・赤作塩辛
生イカを切開き内臓・眼球・口球・骨を除き機械によって切断(漁師は包丁で切る)し樽中に食塩・肝臓とともに混和し毎日攪拌醱酵熟させ夏季は十日間、秋季は二十日間ほどで完成する。食塩量は生イカの十五~二十%が安全で早作りには十%とする。肝臓は五~十%とする。生産費が安く、雨天でスルメ干しの出来ない時のイカの処理法として便利である。(椴法華村では、自家用が大部分で販売目的のものは非常に少なかった。)
・白作塩辛
イカの胴部のみを皮をはいで製造する。
・黒作塩辛
白作りの塩辛に、イカの墨汁を加えたものである。(椴法華村ではあまり作られなかった。)
この「烏賊製品」の項は、大島幸吉著『イカ漁業とその振興策』と北海水産新聞社刊『イカとその漁業並びに加工業』とを参考とする。